スカパーJSATの宇宙事業は、1989年民間初の通信衛星の打ち上げからスタートしました。現在はアジア最大級の衛星通信事業者として、衛星通信サービスを軸とした通信関連事業、衛星データを活用したスペースインテリジェンス事業、既存事業に留まらない開拓領域へ取り組んでいます。当社が保有している通信衛星は、すべて36,000km上空の静止軌道に位置し、日本全国はもちろんアジア全域・オセアニア・中東・ハワイ・北米をカバーしています。衛星通信は災害に強く、いつでもどこでも柔軟に回線を提供できる特長があるため、ライフラインを支える多くの企業に防災・危機管理の通信インフラとして導入されたり、山間部や離島、航空機船舶といった移動体などの地上回線の利用が困難な地域で導入されたりと、さまざまな分野で人々の暮らしの安心・安全を支えています。また、地上・海上・空中・宇宙を問わない空間データの利用需要の高まりを受け、地球観測衛星から得られるデータを活用するスペースインテリジェンス事業を推進し、地球環境のモニタリングや災害リスクの評価を行い、お客様に提供しています。これまで培ってきた知見・実績を活かし、今後も、最先端技術や新しいアイディアをもつ国内外のパートナーと組み、事業を拡大しながら、防災・安全保障領域に留まらず安心で快適な社会の実現に貢献します。
通信関連事業
国内衛星通信分野
災害に強い衛星通信の特長を生かし、官公庁・自治体や電力・ガスなどライフラインを担う企業を中心に、災害対策やBCP(事業継続計画)向けの重要な通信手段として利用されています。また、携帯電話基地局向けのバックホール回線としても利用され、エリア拡大のニーズに対応しています。さらに、いつでもどこでも容易に回線を提供できる柔軟性を生かし、ニュース現場やイベント会場からの映像伝送、企業内通信、コンテンツの全国一斉配信、遠隔多地点の監視制御など、様々な用途に利用されています。
グローバル・モバイル分野
アジア・オセアニア・中東を中心に、地上通信網の補完や島嶼国での通信インフラ構築に加え、航空機・船舶などの移動体向けインターネット回線としても衛星回線が利用されています。航空機や船舶向けの通信需要は、携帯端末の普及とその利便性と快適性へのニーズの高まりによって急速に拡大しており、伝送容量を大幅に拡張したHTS(High Throughput Satellite)を活用してこれらの通信需要に対応しています。
国内衛星放送分野
「スカパー!」のプラットフォームサービスを利用するチャンネル事業者に、衛星回線を提供しています。
スペースインテリジェンス事業
地球観測衛星から得られる画像データ・位置情報など様々な地理空間情報と、当社独自のアルゴリズムによる解析・AI分析を組み合わせたサービスを提供しています。斜面やインフラの変動リスクをモニタリングする衛星防災情報サービス「LIANA(Land-deformation and Infrastructure ANAlysis)」をはじめ、様々なデータを活用したサービスの開発を進めています。あらゆる空間から得られるデータを最大限活用し、安心・安全・快適さに関わる社会課題を情報分析により解決し、豊かな社会の実現に向けて取り組んでいます。
開拓領域
衛星量子鍵配送
「絶対に解読されない次世代の暗号技術」と言われる量子暗号技術を用いた暗号鍵を、衛星を介して取り交わす技術の開発に取り組み、セキュアな通信の実現を目指します。
宇宙状況把握
JAXAが静止軌道に打ち上げを予定している技術試験衛星「ETS-9」の相乗りペイロードとして光学望遠鏡を搭載し、静止軌道の状況を撮影します。スペースデブリと人工衛星の衝突を回避し、宇宙の安全に寄与することを目指します。