経営戦略

低軌道衛星通信サービスとの競合による価格競争激化、有料放送市場でのマイナス成長や動画配信サービス事業者の合従連衡など、当社グループを取り巻く競争環境が大きく変わりつつある中、この変化をチャンスととらえ、加速するデジタル社会の進展とあらゆる空間におけるビジネスフィールドの拡張を見据え、当社グループの果たすべき役割を定めたグループミッションを掲げています。

経営方針・経営戦略

当社グループは、中長期的に目指す姿や社会へもたらす価値の実現に向けた道程を示す価値創造ストーリーを策定しております。宇宙事業とメディア事業共通のビジネスモデルである「集める・届ける・拡げる」の追求により、変化する環境を捉えながら、既存ビジネスの延長線上にとどまることなく、事業領域を拡げ成長を実現し、目指す姿の「宇宙と地球のあらゆる情報・感動をつなげる」「当期純利益250億円超(2030年度)」の達成を目指してまいります。これらのプロセスによりグループミッションでありサステナビリティ方針でもある「Space for your Smile」を体現していくことが、当社グループが社会へ提供する価値創出であります。

  • 「宇宙と地球のあらゆる情報・感動をつなげる」の体系図

中長期的な価値創造創出に向け、当社グループは「既存事業の収益性強化」「新領域事業の展開」「人的資本強化」「経営基盤拡充」という4つの大きな柱から構成される経営戦略を掲げております。

「人的資本強化」

各事業のコア領域への積極的な人的資本投下や人と組織の活性化を図ります。 中核事業会社であるスカパーJSAT株式会社において、「人的資本強化」の実現に向けては、「人財戦略」と人財が力を発揮するための「エンゲージメント強化」の2つを柱としています。人財戦略では、戦略を実行しうる求める人財像を「環境の変化に対応し、変革・成長・改善の原動力となる人財」と定め、「採用・育成」と「抜擢・配置」に取り組んでおります。「エンゲージメント強化」では、会社のありたい姿である「従業員一人ひとりが持つ力を最大限に発揮し、全員がイキイキと活躍している会社」を実現する為に、安心安全な組織づくりに取り組んでおります。

「経営基盤の拡充」

経済価値向上と社会(環境)価値向上の両立による成長実現に向け、サステナビリティ経営の深化を図ります。「Space for your Smile」を「サステナビリティ方針」としても掲げ、社会的課題を解決するとともに企業価値の向上を目的として、サステナビリティ経営を推進しております。また、公共性の高い事業を営む企業としてコーポレート・ガバナンスの向上による経営の透明性を確保してまいります。同時に、コンプライアンス・リスクマネジメント・個人情報保護・情報セキュリティマネジメント等、事業を支える経営基盤のさらなる強化を図ります。

「既存事業の収益性強化」「新領域事業の展開」

宇宙事業

30年以上にわたり培ってきた宇宙・衛星サービス分野での経験を活かし、全ての空間を対象とした革新的な通信ネットワーク及び地球規模のデータ収集ネットワークを構築し、超スマート社会の実現に貢献してまいります。既存の通信関連事業(国内衛星通信、グローバル・モバイルビジネス)では、お客様の多様なニーズに柔軟に対応し、成長市場に向けた高速かつ大容量の通信サービスの提供を拡大・強化してまいります。スペースインテリジェンス事業では、パートナー企業と連携し、様々なデータを活用したサービスの開発と販売活動を推進してまいります。開拓領域では、新たな技術を用いたサービスの事業化に取り組み、事業領域の更なる拡大にチャレンジしてまいります。

メディア事業

衛星放送・動画配信ネットワークを持つプレイヤーとしての確固たるポジションを維持しながら、人と人、企業、社会をつなぐプラットフォームとして多様で創造性豊かな社会の実現に貢献してまいります。既存の放送・配信事業では、生産性の向上を図りつつ、中長期的に放送・配信を複合したプラットフォーム事業展開を推進してまいります。FTTH事業では、販路における顧客接点を強化する等、引き続き拡大に向けた取り組みを強化してまいります。開拓領域では、ファンの体験を拡張する等、新たな収益源の確立を目指してまいります。

2030年に向けて ~事業領域の拡大、新規事業の開拓~

宇宙事業・メディア事業ともに既存事業の基礎収益力の拡大と開拓領域の早期事業化により、企業価値の向上を目指します。

  • 2030年に向けた事業ごとの成長戦略

事業ビジョン実現に向けた最適な資本投下

2030年に目指す姿の実現に向けては、新領域のみならず、既存事業における成長も重要であるため、注力する領域を定めて、資産効率、資本コストを意識した最適な資本投下を行います。
また、財務の安定性や市況動向も勘案しながら、機動的な自己株式取得と配当により、株主還元の充実を図ります。

  • 事業ビジョン実現に向けた資本投下(FY2022~FY2030)の説明図