衛星通信サービスにおける
カーボンフットプリント(CFP)の算出結果

衛星通信のCO2排出量の見える化
~衛星通信でのCO2排出量は、
地上通信と比較して1/5以下という結果に~

衛星通信は環境にやさしいサービスであることをご存知ですか?

衛星は宇宙空間では太陽光のエネルギーで運用されているためCO2を排出していません。さて 、 一方で衛星を打ち上げるまでやアンテナ等の地上設備に関わるCO2排出量はどのくらいあるでしょうか?

今回、スカパーJSAT株式会社(以下、当社)の提供する衛星通信サービスのカーボンフットプリント(CFP)を算出しましたのでその結果をお知らせします。

結果のポイントです。

  • ・衛星通信でのCO2排出量は、地上通信と比較して1/5以下
  • ・衛星管制拠点における実質再生可能エネルギー導入によりCO2排出量を大幅削減
  • ・製造、打上げ、運用・通信、廃棄の段階のうち、運用・通信段階の顧客が利用するVSATの消費電力によるCO2排出が全体の約90%を占めた

カーボンフットプリントとは

カーボンフットプリント(CFP)とは、商品・サービスがつくられてから廃棄されるまでのライフサイクルの各工程で排出された温室効果ガスの排出量を追跡した結果をCO2に換算し、表示することをいいます。商品・サービスの環境負荷を定量的に算定することでサプライチェーン全体の排出量を「見える化」し、削減効果の高いポイントを把握しやすくなります。

算出方法

今回の算定を実施するにあたり、算定ルールはISO14067:2018カーボンフットプリントガイドラインを参照し実施しています。

対象範囲は以下の通りです。

①衛星、ロケット、アンテナ等衛星通信に必要な構成機器の製造段階
②衛星打ち上げ段階
③衛星寿命である約15年間の地上設備、衛星のサービス運用・通信段階
④衛星その他機器の廃棄・リサイクル段階

これらの一連のライフサイクルフローでCO2排出量の算出を行いました。

算出結果

衛星通信サービスにおけるカーボンフットプリント算出の結果は以下の通りです。

算定単位:VSAT  一局が2Mbps/月あたりで稼働した際の排出量
※VSATとは小型の衛星通信端末を用いた双方向通信システムのこと

※デオービットとは運用を終えた静止衛星を軌道から離脱させること。静止衛星の場合、墓場軌道と呼ばれるより高い軌道に移動させます。

排出量合計は17.2kgであり、こちらは自動車で約62km走行したときのCO2排出量、体積で表すと運動会で使う大玉9個分にあたります。

また排出量の各段階の割合を表すと以下の通りです。

衛星通信サービスでは「運用・通信段階」での顧客の所有地におけるアンテナ、モデムでの使用電力による排出量が89%を占めるという結果になりました。

次に多いのはロケット打上げ時の燃料燃焼における排出量でした。

今回の調査において当社が使用するロケット、一回の打上げ時の燃料による排出量は東京からニューヨーク間の飛行機1フライトで排出されるCO2排出量(300~600t)と同等程度ということが分かっています。当社の静止衛星は一度の打上げで約15年稼働するため、思ったより排出量が少ないという印象を受ける方も多いのではないでしょうか。

衛星通信全体の排出量は当社独自調査   による地上回線での排出と比較すると排出量が有意に低く、衛星通信は地上系通信と比較して約1/5以下の排出量結果となりました。
※算出は国立研究開発法人科学技術振興機構が発行する「情報化社会の進展がエネルギー消費に与える影響(Vol.3)」に基づき行いました。

当社の衛星通信サービスは拠点間通信を低排出で効率よく行うことができ、また衛星管制拠点の実質再生可能エネルギーの導入によって、環境負荷が低い通信手段といえることが明らかになりました。

今後の取り組み

当社グループはScope1,2の2025年度末のカーボンニュートラル達成に向けて、拠点の再生可能エネルギーへの切替を進めています。今後もサプライチェーン含めた取り組みにより、持続可能な社会の実現に向けて、カーボンフットプリントの削減、環境負荷低減に取り組んでいきます。

※上記のCFP算定結果は2024年時点の情報に基づいており、今後の更新により変更される可能性があります。