「未知を、価値に。」通信

スカパーJSAT

今なぜ「リアル」に向かうのか?
スカパーJSATが描くファンとの絆

国内唯一のCSデジタル放送のプラットフォーム事業者として、有料多チャンネル放送サービス「スカパー!」を運営しているスカパーJSAT。2021年にはこれまでのオンデマンド配信サービスをリニューアルし、新たに「SPOOX」を開始。配信事業の強化を図ってきました。
さらに、近年は放送・配信だけでなく、リアル分野にも進出。イベントの主催、企画、制作、運営なども行い、「放送+配信+リアル」を基盤にファンの体験価値を高めることを目指しています。
そこで今回は、なぜスカパーJSATがリアル分野に力を入れるのか、その根底にある思いを企画・運営に関わる志塚真理(スポーツジャンル事業部長)、明石静(エンタメジャンル事業部長)、植田恭輔(経営企画部戦略チーム長)に聞きました。

※役職は取材時のものです

海外サッカーやプレミアムライブetc..
スカパーJSATがリアルイベントを企画・運営

近年、スカパーJSATは、スポーツ、音楽、エンターテインメントなど、幅広いジャンルのリアルイベントを手掛けています。

たとえば、ドイツのプロサッカーリーグ「ブンデスリーガ」のジャパンツアー興行もそのひとつ。これまでスカパーJSATは、ブンデスリーガの試合を日本国内で独占的に放送・配信してきました。そして、2022年、満を持して長谷部誠選手と鎌田大地選手が所属するアイントラハト・フランクフルトを招聘し、ジャパンツアーを開催。浦和レッズ戦、ガンバ大阪戦の2試合を、それぞれ「埼玉スタジアム2002」と「パナソニック スタジアム 吹田」で行いました。

折しも、サッカーファンにとって4年に一度の一大イベントが間近に迫り、サッカー熱が高まる時期でのイベント開催。海外で活躍する選手の姿を直に見たいというファンの思いもあり、多くの関心を集め、ファンの裾野を広げる機会となりました。

「ブンデスリーガジャパンツアーでは、日本サッカー界を代表するレジェンドの長谷部誠選手が凱旋し、古巣の浦和レッズと対戦しました。真剣勝負の後には、長谷部選手を楽しみにしていた多くのファンが拍手で称え、スタジアムは大変温かい雰囲気に包まれました。このスタジアムでの体験が、ニュースやSNSでさらに多くの方に届き、ブンデスリーガへの興味関心につながることを期待しています」(志塚)

また、エンタメジャンルでもリアルイベントを積極的に実施しています。スポーツや映画、アニメ、音楽ライブなどさまざまなコンテンツを配信する動画配信サービスSPOOX(スプークス)の名前を冠した「SPOOX MUSIC」。話題のアーティストが一夜限りのライブを開催し生配信・生中継するライブイベントですが、22年11月には2公演を有観客で行い、好評を得ました。

「体験の記憶」もサービスのひとつに

多チャンネル放送を運営し、時代の流れとともに配信サービスも展開してきたスカパーJSATが、新たにリアル分野に力を入れるのはなぜか。そこには、長年、有料で放送・配信を続けてきたスカパーJSATならではの理由があります。

「私たちには、放送・配信を通して熱心でコアなお客様と歩んできた歴史があります。そこに、さらにリアルを加え、追求しているのは、お客様にとって “体験の記憶”もまた、サービスではないかと考えたからです。 “お客様の満足度が最も上がるのはリアルタイム”。映像を通じて楽しむ価値に加え、その場を共有し体感するリアル分野にアプローチしていくことが、スカパーJSATの目指す、ファンの体験価値を高めることになると思うのです」(植田)

これまでさまざまなコンテンツを開拓し、向き合い、徹底的にファンに寄り添ってきたスカパーJSATだからこそ、実現できるリアルがあります。

「たとえば、私たちは、1999年から海外サッカーの放送を開始し、生中継を中心に圧倒的な試合数をもって、その魅力を届け続けてきました。長年、サッカーに向き合うことで築いてきた信頼関係やノウハウ、ファンの思いを汲み取り、形にする力が、長谷部誠選手の浦和凱旋というファン待望の試合実現につながったのだと感じています」(志塚)

また、ライブイベントでも、コアなファンの期待に応え続けてきた月日が生かされています。

「『SPOOX MUSIC』では、お客様が『こういうステージを見たい』、アーティストの『こんなことをやりたい』をどこまで具現化できるか、とことん追求しました」(明石)

意識したのは、“期待を超える違和感”を創り出すこと。
11月に開催した同イベントでは、あのBillboard Liveでアイドルグループのライブを実現。クリスマスにまつわるグループの楽曲をパフォーマンスしたり、アコースティックスタイルで歌ったり、これまでのアイドルのライブにはない演出を行い、ファンの方々から「夢が叶った」「最高だった」と、SNSを通して大きな反響を得ました。ラグジュアリーな空間でアイドルがしっとりと歌うライブ、こうした“心地よい違和感”をつくりだせたのは、常にファンの気持ちにどう応えるか考え続け、コアなファンと同じ気持ちになって企画・演出に関わってきたからともいえます。

「お客様が期待する以上のものを企画するのはもちろん、企画者自身もイチファンとしてファンの思いを知っているからこそ、『なんでこういう演出なんだろう』『なんでこんなキャスティングなんだろう』と感じるような演出で魅せる。それはスカパーJSATでしか体験できない価値ではないかと考えています」(明石)

さらに、イベント開催は、他の事業者とも新たな関わりを生み出しています。
リアルなイベントを実施するにあたり、スカパーJSAT自体も企画・制作・運営に関して一から検討し、イベントを成功に導くための挑戦を行っています。それが事業領域の広さを内外にアピールするきっかけとなり、他事業者と新たな領域へ一歩踏み出す展開にもつながっています。

好きになる&沼にハマるきっかけになる
新しい価値を届けたい

放送と配信のサービスを分割する事業者が多いなか、両サービスが密接につながり、コンテンツの最大化をスピーディに行えるのは、スカパーJSATの強みのひとつです。そこにさらに、「リアル」という価値が加わることで、サービス同士が相互に影響しあい、総合的なコンテンツプラットフォームとして広がりが生まれる。放送・配信を通して、リアルなイベントに出かけたい!というファンが増えることはもちろん、イベントにでかけたことで、映像でもっと見たい、知りたいと感じるコアなファンをつくり出すことにもつながっています。

たとえば、スカパーJSATが積極的に応援している、福岡ソフトバンクホークスのジュニアチーム、「ホークスジュニア」もそうした効果をねらい、放送しているコンテンツです。

「スカパー!では福岡ソフトバンクホークスの試合を放送するのに加え、ジュニアチームを応援し、活動の様子を放送しています。ホークスへの愛着が湧き、球場に応援に行くファンが増える、そんなストーリーを描いています。球場に足を運ぶ人が増え、ファンの熱気をスカパー!を通して伝えることができたら、コンテンツのさらなる魅力アップにもつながります」(志塚)

そこには、未来のファンを育てるという側面もあります。

「スタジアムに足を運んで得た体験が、ずっと記憶に残るのは、とても大切なことだと思います。もし、それが小さいお子さんであれば、『おもしろかったな』という記憶が入口となり、大人になって、さらにその関心を深めるきっかけになるかもしれません。それは、とても素敵な経験だと思うのです」(明石)

ファンが多様化していくなか、スカパーJSATは多くのコンテンツを通じて、プラットフォームビジネスだからこその楽しみ方を提案してきました。そこにリアルが掛け合わさることで、可能性はさらに広がります。

「まだ広くは知られてないジャンルやコンテンツがたくさんあると思います。また、私たちには、これまでコンテンツを通して出会ってきたその道のエキスパート、専門家の皆さんがいます。たとえば、そうした専門家の皆さんとコアなファンをつなげるオフ会のような場を設けたり、リアルなイベントを開催することで、ファンの皆さんを新しい“好きの入り口”に誘ったり、“より深い沼”に導くこともできるのではないかと考えています。これまでのリソースとリアルとの掛け合わせによって、新たな価値を生み出す可能性は無限ではないでしょうか」(植田)

そして、放送・配信やリアルの体験から、スカパーJSATらしさを伝えていけたらと、3人は語ります。

「ファンが本当に望むイベントを開催し、演出やキャスティングを通して、ファンの夢を実現する。それによりリアル分野でも『スカパー!って、わかってるよね』と皆さんに言っていただける、プラットフォーム・コンテンツ事業を行っていきたいという思いがあります。コンテンツやリアル体験は、すべて私たちからのメッセージ。これからも、スカパーJSATらしいと言っていただける世界観を伝えていきたいと思っています」(明石)

(2023年1月20日時点)