宇宙図書館

どこからが宇宙?

惑星わくせいと衛星のちがい

流れ星の正体は?

宇宙って
だれのもの?

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衛星を発明した
人はだれ?

衛星の種類を教えて

静止衛星と低軌道ていきどう
衛星えいせいのちがいは?

衛星の大きさって
どれくらい?

世界中の衛星の数は
どれくらい?

地球から衛星を
肉眼で見ることは
できるの?

衛星はどうして
回り続けて
いられるの?

衛星に寿命じゅみょう
あるの?

使われなくなった
衛星はどうなるの?

衛星はどこで、
どのようにして打ち
上げられているの?

衛星打ち上げまでに
どれくらいの時間・
お金がかかるの?

衛星を打ち上げる
軌道位置きどういちは宇宙なら
どこでもいいの?

衛星はどのように
コントロール
されているの?

人工衛星の特長

“食”による影響えいきょうって
どんなもの?

衛星は故障こしょう
しないの?

(災害時に役立つ)
衛星画像データ
とは?

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通信衛星の
構造を教えて

通信衛星からどの
ようにして電波は
送られてくるの?

通信衛星からの
電波は
雨や風に弱いの?

災害時に役立つ
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太陽雑音の
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スペースデブリは
どうやって
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宇宙に旅行
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宇宙について

どこからが宇宙?

宇宙空間は、地球から100kmほどはなれ、重力が弱まった影響(えいきょう)で大気(空気)がほとんどなくなった地球の外に広がる空間のことで、(*)国際航空連盟(こくさいこうくうれんめい)(Federation Aeronautique Internationale:FAI)では、高度100kmから上を、アメリカ空軍は80kmから上を「宇宙」と定義しています。 地球と宇宙空間との境界は、大気圏(たいきけん)とよばれる大気の層(そう)の中に存在(そんざい)します。大気圏は大きく分けて下から対流圏、成層圏、中間圏、熱圏、外気圏に分かれています。このうち地球と宇宙空間の境目とされる高度80~100kmは熱圏に存在します。

  • 対流圏(高度0~11km)
    飛行機が通常飛行している高度は10kmあたりで、天気の変化は、この中で起こっています
  • 成層圏(高度12~50km)
    有害な紫外線(しがいせん)から守ってくれるオゾン層が存在しています
    中間圏(高度50~80km):オゾン層による加熱の影響(えいきょう)はうすれ、高度が上がるにつれて気温は下がっていきます。上層付近は-90℃程となっています
  • 熱圏(高度80~500km)
    地球と宇宙空間の境界はここにあります。太陽の熱エネルギーを直接受けるため、高度が上がるにつれ気温は急激(きゅうげき)に上昇(じょうしょう)し、上層付近では2,000℃に達することもありますが、空気の密度(みつど)が非常に低いため、熱さを感じることはないそうです。国際宇宙ステーションは高度400kmを飛行しています
  • 外気圏(高度500km~10,000km)
    大気圏の中でもっとも外側の層です。

どこから宇宙なのかは、われわれの定義次第になります。

(*)国際航空連盟(Federation Aeronautique Internationale:FAI)
1905年に創立(そうりつ)された、航空、宇宙飛行の発展(はってん)を目的とした国際団体。現在は航空機を利用したスポーツの統括(とうかつ)などを行っています。

宇宙について

惑星わくせいと衛星のちがい

惑星も衛星も同じ天体(星)ですが、何を基準に回っているかで、よび名が分けられています。
惑星は、太陽の周りを回っている天体です。わたしたちの地球もこの惑星になります。この太陽系(たいようけい)の惑星は、水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星の8個あります。かつて冥王星(めいおうせい)も惑星とされていましたが、2006年に(*)国際天文学連合により準惑星に分類されました(太陽系の準惑星は5個あります)。一方、衛星は、惑星の周りを回っている天体のことで、地球の衛星は月だけです。
なお、放送衛星や通信衛星、気象衛星なども、地球の周りを回っているので「衛星」と称(しょう)しますが、これらは全て「人工衛星」です。

(*)国際天文学連合
国際協力を通じて天文学の発展(はってん)を目指す非政府の国際組織。

宇宙について

流れ星の正体は?

夜空にスーッと流れる一筋(ひとすじ)の光…それが流れ星です。この光はいったい何でしょうか。「流れ星」という名称(めいしょう)ではありますが、流れているのは「星」ではなく、宇宙空間にただよっている、わずか1mm~数cmの「ちり」です。この小さな「ちり」が、地球に飛びこんできた時に大気とはげしく衝突(しょうとつ)して気化し、大気の成分と混ざり合って光を放つのです。
では、その「ちり」はどこから来るのでしょうか。それは、太陽の周りを回る小さな天体「彗星(すいせい)」から出ています。彗星は、太陽からの強烈(きょうれつ)なエネルギーを受けて、その軌道上(きどうじょう)に「ちり」を放出していきます。定期的に何度も回ることで、やがてその軌道に「ちり」が密集(みっしゅう)した帯ができます。この「ちり」の帯が地球に突入(とつにゅう)すると、流星群(流れ星)が発生します。

宇宙について

宇宙ってだれのもの?

月や火星、金星などの天体をはじめ宇宙空間の全てが、だれのものでもありません。1967年に、米国やロシア、日本を含(ふく)む約100カ国により「宇宙条約」が制定され、宇宙空間における探査利用(たんさりよう)の自由を定めています。つまり、特定の国や地域(ちいき)が「自分たちのもの」だという主張はできませんし、宇宙空間での活動においては平和利用を大原則としています。
1969年に、米国のアポロ11号が月面に着陸し、アームストロング船長が人類で初めて月面をふみ、月に星条旗を立てる映像(えいぞう)が世界中のテレビに中継(ちゅうけい)されました。これにより「月は米国のもの」というイメージを持つ人もいますが、実際は「宇宙は法にしたがって、世界が仲良く共有するもの」なのです。

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衛星について

衛星を発明した人はだれ?

人工衛星という概念(がいねん)が初めて出てきたのは、フィクションの世界です。アメリカの作家エドワード・エヴァレット・ヘイル(1822年-1909年)が、短編小説『The Brick Moon』(1869年)の中で、初めて人工衛星をフィクションの物語として記述しました。その後、ロシアの物理学者コンスタンチン・エドゥアルドヴィッチ・ツィオルコフスキー(1857年-1935年)が、学術論文(がくじゅつろんぶん)(1903年)の中で、地球を回るための軌道速度(きどうそくど)を計算し、衛星から宇宙服、宇宙ステーションなど、人類が宇宙へ進出するための方法について、初めて科学的な角度から唱えました。つまり、100年以上前から人工衛星というアイデアは存在(そんざい)していたのです。
そして、映画(えいが)『2001年宇宙の旅』の著者(ちょしゃ)として有名になったイギリスのSF作家アーサー・チャールズ・クラーク(1917年-2008年)が、論文『EXTRA-TERRESTRIAL RELAYS{地球外中継(ちきゅうがいちゅうけい)}』(1945年)の中で、静止軌道衛星を使って通信のやりとりをするアイデアを示しました。この論文の中で、衛星を3万6,000km上空に打ち上げれば24時間で地球を一周すること、赤道上空に打ち上げれば地球の自転と同期して、衛星が地上から静止しているように見えること、など現代の衛星の原理がすでに示されているのです。これが、アーサー・C.クラークが「衛星の生み親」とよばれるゆえんです。

衛星について

衛星の種類を教えて

ひとくちに「衛星」といっても、その使い方や目的によって、いろいろな種類の衛星があります。ここでは、主な衛星の写真を見ながらご説明しましょう。

  • 通信衛星(CS)
    通信で使うことを目的とする衛星。スカパーJSATの衛星はすべて通信衛星ですが、衛星放送「スカパー!」のように放送サービスにも使われています。
通信衛星(JCSAT-110A)<写真提供:スカパーJSAT>
  • 放送衛星(BS)
    NHK-BS1やWOWOWでおなじみの放送専用(せんよう)の衛星。BSデジタル放送には放送衛星が使われています。
放送衛星(BSAT-4a)<写真提供:スペースシステムズロラール社>
  • 気象衛星
    雲や空のようすを観測するための衛星。この観測結果が天気予報などに使われています。
気象衛星(ひまわり8号)<気象庁ウェブサイトより>
  • 地球観測衛星
    陸・海・大気圏(たいきけん)などのようすを観測するための衛星。オゾン層(そう)の破壊(はかい)や地球温暖化(ちきゅうおんだんか)などの地球環境問題(ちきゅうかんきょうもんだい)を知るために大切な役割(やくわり)を果たしています。
    また、ここ数年、小型の低軌道衛星(ていきどうえいせい)(地球表面からの高度約2,000km以下)によって、可視光(かしこう)や赤外線、マイクロ波などを使ったさまざまな観測(リモートセンシング)が可能となってきました。
地球観測衛星(先進光学衛星「だいち(ALOS)」)<写真提供:JAXA>
  • 科学衛星
    天体の観測や他の惑星(わくせい)を調べるための衛星。また国際宇宙ステーションなど、技術の開発にも使われています。
科学衛星(小型高機能科学衛星「れいめい」)<写真提供:JAXA>
  • 測位衛星(GNSS)
    地球上の位置を確認(かくにん)するための衛星です。地球の周りにある複数の衛星から発信された電波が、受信機に到達(とうたつ)するまでにかかった時間によって距離(きょり)を測ることができます。日本の準天頂衛星(じゅんてんちょうえいせい)(みちびき)、アメリカのGPS、ロシアのGLONASS、EUのGalileo、中国の北斗(ほくと)などが測位衛星です。
測位衛星(準天頂衛星初号機「みちびき」)<写真提供:JAXA>

以上のほか、太陽系(たいようけい)の惑星や月、小惑星等をさぐる探査機(たんさき)、軍事で使うことを目的とした偵察衛星(ていさつえいせい)などもあります。

衛星について

静止衛星と低軌道衛星ていきどうえいせい
ちがいは?

静止衛星は地上から3万6,000km上空の静止軌道にある衛星のこと、低軌道衛星は2,000km以下の低軌道にある衛星のことです。
赤道上空3万6,000kmの静止軌道に位置する衛星は、地球の自転と同じ速さで、24時間で地球を1周します。そのため、地上から見るとずっと同じ位置にあり、まるで動いていないように見えるため、「静止衛星」とよばれます。ちなみに、3万6,000km上空より地球に近ければ、衛星は速く回転してしまい、それより遠い位置ではおそく回転してしまいます。速くも遅くもならない、ちょうど同じ速さで回る位置が、赤道上空約3万6,000kmというわけです。スカパーJSATの通信衛星や放送衛星、気象衛星などが、この静止衛星です。ですから24時間365日いつでも空の同じ位置からサービス提供(ていきょう)できるのです。
低軌道衛星は、静止衛星より地球に近い位置にあるため、地球の自転よりもずっと速く回っています。低軌道衛星は地上から見ると常に動いていて、上空を通り過ぎると利用不可能になってしまうため、たくさんの小型衛星が地球の周りをぐるぐる回りながら全地球をカバーしています。
なお、静止衛星(=地球の自転)の速さはジェット機(時速800~900km)の約2倍、低軌道衛星の速さはジェット機の約30倍です。
また、静止軌道と低軌道の間、つまり地上2,000kmから3万6,000kmの間を中軌道といい、そこに位置する衛星を中軌道衛星といいます。一方、役割(やくわり)を終えた人工衛星は燃料が切れてフラフラしてしまうため、他の衛星にぶつかってしまう可能性があります。そのため「衛星の墓場」とよばれる位置に移動させる必要があります。静止軌道よりもさらに200〜300km高い位置が、墓場軌道とよばれています。

衛星について

衛星の大きさって
どれくらい?

静止衛星のような大型衛星から、低軌道衛星(ていきどうえいせい)のような小型衛星まで、さまざまな大きさの衛星があります。
静止衛星(大型衛星)は全長約25m・重量約3トン以上と、新幹線の1車両と同じくらいの大きさです。低軌道衛星(小型衛星)は小型化がどんどん進んでいて、1辺が50〜60cm・重量50kg程度と小型冷蔵庫(こがたれいぞうこ)サイズのものから、1辺が約10cm・重量1〜4kgと手のひらサイズ{超小型衛星(ちょうこがたえいせい)}まであります。ちなみに、スペースXの衛星コンステレーション「スターリンク」で使われている衛星は、1.1m×70cm×70cmのボックス型で約400kgです。

衛星について

世界中の衛星の数は
どれくらい?

人工衛星や宇宙探査機(うちゅうたんさき)、宇宙ステーションなど、これまで宇宙空間に打ち上げられた人工物体のカタログが、国際連合宇宙局((*)UNOOSA)の「Outer Space Object Index」というサイトで公開されています。そのカタログによれば、2021年12月現在で12,000個をこえる登録があります。なお、現在運⽤中の人工衛星は5,000機以上で、近年は衛星コンステレーション用の衛星打ち上げがさかんで、2030年までに約4万6,000機以上打ち上げられると言われています。

(*)UNOOSA=United Nations Office for Outer Space Affairsの略で、国際連合宇宙局のこと。戦争や紛争(ふんそう)を防ぎ、世界の平和と安全を維持(いじ)するための国際機関「国際連合(国連)」の中にあり、広く宇宙に関する国際的な話し合いをする機関です。1958年設立。本部はオーストリアのウィーンにあります。

衛星について

地球から衛星を
肉眼で
見ることはできるの?

衛星は自ら光を出してはいないので、太陽の光があたって反射(はんしゃ)したところを確認(かくにん)することが「衛星を見る」ということになります。日の入り後や日の出前の数時間が、衛星が見られるチャンスです。太陽の光は地上にはとどいていませんが、上空にはとどいていますので、太陽の光を反射した衛星を見ることができます。
スカパーJSATの通信衛星は赤道上空約3万6,000kmと遠い軌道上(きどうじょう)にあるため、肉眼では見ることができません。なお、宇宙飛行士が搭乗(とうじょう)している国際宇宙ステーション(ISS)は地球から約400kmと近い軌道上を周回しているので、肉眼で見ることができます。

衛星について

衛星はどうして
回り続けていられるの?

ひとことでいうと、“衛星にはたらく「引力」と「遠心力」がつり合っているから”ということになりますが、それはどのような状態のことをいうのでしょうか?
まず、「引力」とは地球が衛星をひっぱる力のことで、「遠心力」とは回転することによって衛星が地球からはなれようとする力のことです。たとえば、ハンマー投げ競技のように地球と衛星が 1本のロープでつながっているところを想像してください。このときのロープの役割(やくわり)が「引力」です。衛星の回転するスピードがおそすぎるとロープはたるんでしまい、やがて衛星は地球に落ちてしまいます。また反対に、回転するスピードが速すぎるとロープはちぎれてしまい、衛星はどこかに放り出されることになります。「引力」と「遠心力」がつり合っている状態というのは、このロープがまっすぐに張っているときのことをいいます。

衛星について

衛星に寿命じゅみょうはあるの?

衛星には、地球や月の引力の影響(えいきょう)などで、衛星が通る道である軌道(きどう)からはずれそうになったり、姿勢(しせい)が傾(かたむ)いたりしたときに、それらを直すために噴射(ふんしゃ)するための燃料が積まれています。多くの場合は、打ち上げからこの燃料を使い果たしたときがその衛星の寿命となります。
一般的(いっぱんてき)に地上約500~2,000kmの低軌道衛星は地球に近い位置にあるため、大気や引力の影響を受けやすいといえます。ですから軌道や姿勢を直すための燃料も早めになくなってしまい、これに準じて寿命も短くなります。それに比べ、スカパー JSATの通信衛星のように赤道上空約 3万 6,000kmと遠い位置にあるものは、設計上、15年以上と寿命が長くなっています。

衛星について

使われなくなった衛星は
どうなるの?

運用が終了(しゅうりょう)した衛星は、できるだけ早く大気圏(たいきけん)に突入(とつにゅう)させて燃やしつくすか(「デオービット」といいます)、他の衛星のじゃまにならないよう軌道(きどう)を移動させる、という対策(たいさく)がとられています。
軌道から移動した衛星は、しばらくの間、地球の周りを回り続けますが、地上から100kmくらいの低い軌道の場合は、大気や引力の影響(えいきょう)で徐々(じょじょ)に高度が下がっていき、数年から数十年で大気圏に突入して燃えつきます。なお、静止軌道3万6,000kmより200〜300m高い軌道が「墓場軌道」とよばれ、役目を終えた静止衛星はここへの移動が試みられます。ただ1,000kmを超える高い軌道の衛星は100年以上、地球の周りを回り続けることになります。このような衛星はスペースデブリ(宇宙のごみ)となってしまうため、スカパーJSATをはじめ、世界各国で対策が検討されています。

衛星について

衛星はどこで、
どのようにして
打ち上げられているの?

衛星は自らの力で地球の引力圏(いんりょくけん)から脱出(だっしゅつ)できないので、ロケットに運ばれて宇宙空間へと旅立ちます。地上から200km~2000km程度の低軌道(ていきどう)へは小型ロケット、3万6000km上空の静止軌道へは大型ロケットと、さまざまな高度に打ち上げるためのロケットが開発されています。

ロケット打ち上げ会社で高い実績があるのは、フランスのアリアンスペース社、アメリカのスペースX社で、日本ではJAXA(宇宙航空研究開発機構)が、さまざまな高度に打ち上げるロケットを持っています。ロケットを打ち上げる施設(しせつ){射場(しゃば)}は、米国のフロリダや南米の仏領ギアナ、日本では種子島や内之浦(うちのうら)(いずれも鹿児島県)に設置されています。それらの場所で打ち上げられるのには、主に次のような2つの理由があります。

  • 東側が海
    衛星を打ち上げる場合、地球の自転の力を利用するため、必ず東向きに打ち上げることになります。また万が一、ロケットの飛行経路がずれるなどの原因で、ロケットを自爆(じばく)させなくてはならない場合、破片(はへん)が飛び散ることも考えて、射場の東側には人々の生活圏がない場所ということで、東側が海となっている場所が多いのです。
  • 赤道に近い
    打ち上げから静止軌道へ到達(とうたつ)するまでの間に使う燃料の量が少なくてすむように、赤道のそばにある射場を利用します。なお、通常、ロケットは高度を上げるごとに、いらなくなったタンクやエンジンを切りはなして、機体を軽くしながら速度を上げていきます、それらはすべて海にすてられ、宇宙空間まで衛星を送りとどけた最後のロケットは残りの燃料で低い場所へ移動し、地球の周りを回りながら少しずつ高度を下げ、最終的に大気圏に突入(とつにゅう)して燃えつきます。ところが、スペースX社は再利用型ロケットという、衛星を宇宙空間にとどけた後、自力で地上にもどってくるロケットを開発しました。

衛星について

衛星打ち上げまでに
どれくらいの
時間・お金がかかるの?

大型衛星と小型衛星では、かかる時間もお金もかなりちがいます。
大型衛星は、設計から打ち上げまで5年〜10年はかかります。製造コストは150億〜500億円、それにロケット打ち上げ費用として80億~120億円かかります。
一方、小型衛星は、製造にかかる年数は2年程度(同じ規格の衛星なら1年程度)ですみ、製造コストは数億円、ロケット打ち上げ費用は2億~10億円と言われています。

衛星について

衛星を打ち上げる
軌道位置きどういち
宇宙ならどこでもいいの?

衛星は使い方や目的によって、さまざまな軌道に打ち上げられます。
Q4で説明している通り、衛星が位置する軌道は、大きく分けて、地上から500km~2000km上空の「低軌道」と、3万6000km上空の「静止軌道」があります。 では、そのどちらかの軌道であれば、どこでも衛星を打ち上げていいのか、というと、そうではありません。世界各国が自由に打ち上げていたら、衛星同士が近づいたり、電波干渉したりしてしまうかもしれません。
そういうことがないように、国連の専門機関(せんもんきかん)である(*)国際電気通信連合(ITU)が、衛星の軌道や周波数を管理しています。つまり、宇宙にある衛星は、このITUに登録されているのです。

(*)国際電気通信連合(ITU)
電気通信(有線通信および無線通信)における各国間のルール作りを目的とし、193カ国(2022年10月現在)が加盟(かめい)しています。本部はスイスのジュネーブ、日本は1959年から理事国としてITUの管理・運営に参加しています。

衛星について

衛星はどのように
コントロール
されているの?

衛星は衛星管制センターとよばれる、地上の設備との信号のやりとりによってコントロールされています。スカパーJSATでは主局となる横浜(よこはま)衛星管制センター(YSCC)のほかに、茨城ネットワーク管制センター、山口ネットワーク管制センターという2つの副局を設置しています。地理的にはなれた地域(ちいき)に副局を設置することで、たとえば横浜で地震(じしん)が起こったら、山口の管制センターが引き受けるというように、衛星を使うお客様へのサービスを継続(けいぞく)できるよう、災害に強い衛星管制体制を整えています。
では実際に衛星管制センターではどのようなことをしているのか、YSCCを例にご説明しましょう。

  • 通信衛星から送られてくる信号を調べて、衛星のなかの温度・電圧・電流・スイッチの状態などが正しいかどうかを確認(かくにん)しています。もし、何か異常(いじょう)があった場合でも、すぐに対応できるようにするためです。つまり衛星の“健康診断(けんこうしんだん)や診療(しんりょう)”をしているのです。
  • 軌道位置(きどういち)を正しく知るために、衛星までの距離(きょり)や方向をはかります。
  • 衛星が宇宙空間のさまざまな要因などによって軌道位置からずれてしまったり、別の方向を向いてしまったりしないように、地上から信号を送って、衛星に取りつけられているスラスター(小型ジェット)を噴射させて正しい位置に直します。
    このほか、YSCCでは、通信に使う回線(情報が行き交う経路)の監視(かんし)やテスト、利用の予約などをしています。

衛星について

人工衛星の特長

通信衛星には、赤道上空3万6,000kmに位置する静止衛星と、静止衛星よりも地球に近い低軌道(ていきどう)を回る周回衛星があり、いずれも地球上の広い範囲(はんい)で情報のやり取り(通信)をするために活用されています。ここで通信衛星の特長をまとめてみましょう。

  • 【フレキシビリティ(いつでも、どこでもつながる)】
    通信衛星は、陸・海・空を問わず地球の広い範囲をカバーしています[広域性(こういきせい)]。静止衛星の場合は、1機で地球の1/4〜1/3程度をカバーするので、複数の通信衛星を組み合わせれば、地球全域をカバーすることができます。地上の通信インフラ(電話やインターネットなど)が不十分な国や地域はもちろん、飛行機や船などの乗り物にも高速通信サービスを提供(ていきょう)することができます。また、カバーエリア内の多くの拠点(きょてん)に一斉(いっせい)に同時配信することができますし[同報性]、報道現場からの中継用回線(ちゅうけいようかいせん)など急な要請(ようせい)にも柔軟(じゅうなん)に対応できます[柔軟性]。
  • 【レジリエンス(災害に強い)】
    通信衛星は宇宙空間にあるため、地震(じしん)など地上での自然災害の影響(えいきょう)を受けません[耐災害性(たいさいがいせい)]。そのため、政府・自治体やライフラインをになう企業(きぎょう)などが、防災用や地上通信のバックアップ、携帯基地局(けいたいきちきょく)のバックホール回線など、さまざまな用途(ようと)で衛星通信を利用しています。
  • 【セキュリティ(安全性の高い通信回線)】
    地上系(ちじょうけい)のネットワークに比べて、通信衛星を利用した無線通信は不正アクセスしにくく、高いセキュリティを確保することができます[安全性]。安全保障(あんぜんほしょう)をふくめた国や地域の安心・安全、秘匿性(ひとくせい)の高い情報伝達にすぐれた役割(やくわり)を発揮(はっき)します。
  • 【サステナビリティ{持続可能社会の基盤(きばん)}】
    通信衛星は太陽光発電を利用して運用されます。クリーンな再生可能エネルギーを用いた効率的な通信ネットワークの構築により、持続可能な社会の実現に貢献(こうけん)します[持続可能性]。また、低軌道を回る周回衛星から得られるさまざまな地球観測画像やデータの利用は、災害予測や海洋汚染状況(おせんじょうきょう)の把握(はあく)などの分野で、持続可能な社会に大きく貢献できると期待されています。

衛星について

“食”による影響えいきょうって
どんなもの?

太陽、月、地球が一直線にならんだとき、太陽が月にかくれることで「日食」が起こります。また、太陽、地球、月が一直線にならんだとき、月が地球の陰(かげ)にかくれることで「月食」が起こります。

これらと同様に、太陽、地球、衛星が一直線にならんだとき、衛星が地球のかげに入ることで起こる現象が「食」です。春分・秋分の前後、約1ヵ月半にわたって、1日70分程度起こります。食の間は衛星が地球のかげに入るため、太陽の光が衛星にとどかなくなります。衛星に搭載(とうさい)されている太陽電池パネルで太陽光が受けられなくなると、電力を作り出すことができません。
そのため、衛星にたくさんの電力をたくわえたバッテリーをのせせることによって、「食」の間でも普段(ふだん)と同じように衛星が機能するようになっています。

衛星について

衛星は故障こしょうしないの?

通信衛星も機械ですから、まったく故障しないと言いきることはできません。宇宙ステーションなどごく一部の例外をのぞいて、宇宙には人がいません。そのため通信衛星は、故障修理やメンテナンスなしで10年から15年といった長い期間にわたって機能し続ける必要があります。そこでスカパーJSATでは故障した通信衛星といつでも交代できるように、常に予備の通信衛星を静止軌道(せいしきどう)に待機させています。

衛星について

(災害時に役立つ)
衛星画像データとは?

人工衛星なら、航空機やヘリコプターなどが通過できないエリアでも、衛星に搭載(とうさい)されたセンサで、地球全土の画像を撮影(さつえい)することができます。センサの機能により違いはありますが、広い範囲(はんい)を定期的に、そして長期間観測可能なのは人工衛星だけです。
衛星画像を撮影する衛星には、主に光学衛星SAR衛星があります。
光学衛星は、いわゆる普通(ふつう)のカメラのように、衛星から地上を写真撮影します。「Google Map」の航空写真のようなイメージです。センサがどんどん精密(せいみつ)になっており、最近では60cmのものまで鮮明(せんめい)に撮影できるようになっています(このことを「地上分解能0.6m」と表現します)。ただ、普通のカメラと同様に、雲におおわれた場所や暗い夜は撮影できません。
SAR衛星(サー衛星/合成開口レーダー衛星)は、衛星から電波を飛ばして地表からはね返ってきた電波をとらえて撮影します。エコーで撮影したようなイメージですので、画像としてはわかりづらいですが、雲があっても夜でも撮影できますし、写真{目視(もくし)}で判断できない地上の変化{地盤沈下(じばんちんか)、海水の塩分の含有量(がんゆうりょう)の変化等}もデータとして把握(はあく)できます。
光学衛星もSAR衛星も、同じ場所を定期的に撮影することができますので、刻々(こくこく)と変化する災害の状況(じょうきょう)を把握するのに適しています。

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通信衛星について

通信衛星の構造を教えて

人工衛星には通信衛星、放送衛星、気象衛星そして観測衛星などがあり、それぞれの衛星はその目的を果たすために電子機器を始めとする様々な機器を搭載(とうさい)しています。
ここでは「JCSAT-2B」を例にご説明しましょう。

Cバンド/Kuバンドの意味をみる。

通信衛星について

通信衛星から
どのようにして
電波は送られてくるの?

通信衛星には電波を受信するためのアンテナが積んであります。このアンテナは、地球から送られてきた電波を受けて、同時に地球に向けて電波を送り返す働きをしています。
電波は、地上から通信衛星に向けて送られ、衛星にたどりついて再び地上にもどってくるまで、約7万2,000kmもの長い道のりを往復します。そのため、地上からとどいた電波をいったん衛星内で強く{増幅(ぞうふく)}してから地球に送り返します。このようにして、わたしたちのもとに電波がとどけられているのです。
また、電波が光と同じ秒速30万kmの速さだとしても、地上と衛星の距離(きょり)を往復するには約0.25秒かかってしまいます。テレビの衛星中継(えいせいちゅうけい)では、こちらが話したことが相手に伝わるまでに少し時間がかかってしまう原因はこの電波のおくれのためなのです。

通信衛星について

通信衛星からの電波は
雨や風に弱いの?

通信衛星のすべての電波が雨に弱いわけではなく、電波の周波数によって雨の影響(えいきょう)を受けやすいものとそうでないものに分けることができます。
日本で一般的(いっぱんてき)に多く使われている衛星通信の電波にはKuバンド、Cバンドとよばれているものがあります。Cバンドは、はげしい雨による影響(えいきょう)を受けませんが、周波数が低いので大型アンテナでの受信が必要です。一方Kuバンドは、大容量の情報を小型アンテナで受信ができるという特性があるので、「スカパー!」の放送や国内の通信に適している電波です。ただ、小型アンテナで受信できる反面、はげしい雨などの影響を受けてしまうことがあります。
大雨がふると受信画面がモザイク状になったり、テレビなどでは正常に受信できなくなる場合があります。これは、雨によって電波の強さが弱められてしまうために起こる現象(「降雨減衰(こううげんすい)」といいます)です。風については、強風であっても通信衛星の電波に影響はありません。しかし、台風の後などは受信アンテナがかたむいたりしていないか、確認(かくにん)しておくことも大切です。

通信衛星について

災害時に役立つ
衛星通信サービスは?

近年増加している地震(じしん)や台風、集中豪雨(しゅうちゅうごうう)や火山噴火(かざんふんか)などの災害発生の際、地中の光ファイバーケーブルの断線や、倒木(とうぼく)などによる断線など地上回線が遮断(しゃだん)され、緊急時(きんきゅうじ)にも関わらず通信回線が利用できなくなるケースが多くあります。
さらにそれだけではなく、災害時には一度に多くの接続が行われることで、インターネットや電話回線などの通信がつながりにくくなる「輻輳(ふくそう)」が起こります。
衛星回線の場合は、地球の上空約3万6,000kmにある通信衛星を用いるため、地上で起こるさまざまな災害による直接的な影響(えいきょう)を受けません。また、車両にアンテナを搭載(とうさい)した「車載局(しゃさいきょく)」や、超小型地球局(ちょうこがたききゅうきょく)の「VSAT」、可搬局(かはんきょく)などの衛星地球局を利用することで、あらゆる場所からの通信を可能にします。
スカパーJSATでは災害時に役立つサービスとして、次のようなサービスを提供(ていきょう)しています。

  • 「ExBird(エックスバード)」
    災害時でも地上回線未整備エリアでも、インターネットや音声通信が使えるサービス
  • 「EsBird(エスバード)」
    防災通信に最適なワンストップサービスの提供が可能なサービス
  • 「SafetyBird(セーフティバード)」
    災害時でも地上回線未整備エリアでも、緊急地震速報が受信できるサービス
  • 「Portalink(ポータリンク)」
    エリアや地上環境(ちじょうかんきょう)に影響されにくいハイビジョン対応の中継地点(ちゅうけいちてん)を利用できるサービス

また、小型無人飛行機(ドローン)を使って、災害発生時の被災地(ひさいち)の被害状況(ひがいじょうきょう)などを撮影(さつえい)したり、離島(りとう)や山間部に支援物資(しえんぶっし)を輸送するなど、ドローンが災害現場でその真価を発揮(はっき)するという場面も現れ始めています。このドローンに通信衛星システムを搭載することによって、より迅速(じんそく)で正確な情報取集や輸送が可能になるなど、緊急災害時における活躍(かつやく)が期待されるところです。

通信衛星について

太陽雑音の影響について

太陽からはさまざまな種類の電磁波(でんじは){紫外線(しがいせん)、可視光線(かしこうせん)、赤外線など}が放出されています。その電磁波が通信回線を劣化(れっか)させる雑音となります。これを太陽雑音といいます。
衛星と通信のやりとりをする地球局アンテナの指向ビームの延長線上(えんちょうせんじょう)に太陽が横切ると、太陽雑音が加わり、受信レベルが下がってしまうという現象が起こります。日本がある北半球の受信局では、春分の日の前/秋分の日の後にそれぞれ数日間発生することになります。また、発生する時間は受信局の経度が衛星の経度より西にある場合は午前中に発生し、東にある場合は午後に発生します。

※スカパーJSATでは太陽雑音発生日時の予測をホームページ上に掲載(けいさい)しています。受信したい衛星名と受信地域(じゅしんちいき)を選択(せんたく)すると、太陽雑音発生日時が表示されます。
太陽雑音発生日時の予測ページはこちら

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その他

スペースデブリは
どうやって掃除そうじするの?

世界各国の宇宙機関や宇宙関連企業(うちゅうかんれんきぎょう)、ベンチャーとよばれる若(わか)い会社が、デブリを掃除する技術を日夜開発しています。いくつか紹介(しょうかい)しましょう。
スカパーJSATは、不用になった衛星(デブリ)をレーザーで移動させる方法を開発しています。レーザーを搭載(とうさい)した衛星をデブリの近くに持っていき、び弱なレーザーを照射(しょうしゃ)しながらデブリを移動させて、大気圏(たいきけん)に突入(とつにゅう)させ燃えつきさせるという方法です。
アストロスケールは、磁力(じりょく)とロボットアームを使ってデブリをつかまえる方法を開発しています。また、これから打ち上がる衛星には、クルマの牽引(けんいん)フックのようなものをあらかじめ取り付けて、寿命がきたら捕獲機(ほかくき)が回収(かいしゅう)するという方法も考えています。
また、JAXAやアメリカのテザーズ・アンリミテッド(TUI)社は、導電性(どうでんせい)テザーという技術を使ってデブリの掃除を考えています。電気を流すことができるアルミとステンレスのひも(テザー)を搭載した衛星{デブリ除去衛星(じょきょえいせい)}をデブリに近くに持っていき、テザーを数百m〜数kmのばしてデブリに取り付け、電流を流してデブリの機能を弱め、徐々(じょじょに)に地球に近づけて、大気圏に突入させ燃えつきさせるという方法です。
いずれも、今はまだ実験中ですが、2020年代半ばには実際に使えるようになるかもしれません。

その他

宇宙に旅行できるの?

これまで宇宙に行けるのは、高度な訓練を受けた宇宙飛行士だけでしたが、2020年代に入って、一般(いっぱん)の人でも宇宙に行けるようになりました。
米国スペースX社は、2020年から国際宇宙ステーション(ISS)へ野口聡一(のぐちそういち)氏や星出彰彦(ほしであきひこ)氏はじめ何人もの宇宙飛行士を送りとどけていますが、このような実績を積んで、2022年9月に、世界で初めて民間人4人だけの宇宙飛行(地球上空約579km/3日間)を成功させました。スペースX社は、2023年には月周辺への宇宙旅行を計画しており、実業家の前澤友作(まえざわゆうさく)氏が搭乗(とうじょう)を表明して話題になりました。
また、2021年7月11日には米国ヴァージン・ギャラクティック社が、続いて7月20日には米国ブルーオリジン社が、それぞれ初めて民間人を乗せた宇宙飛行を成功させています。ヴァージン・ギャラクティック社の「スペースシップ2」には創業者(そうぎょうしゃ)リチャード・ブランソン氏(70さい)や経営関係者が搭乗、ブルーオリジン社の「ニューシェパード」にはジェフ・ベゾス氏(米国アマゾン・ドット・コム創業者/57歳)のほか一般の乗客(82さい女性、18さい男性など)も搭乗しました。いずれも地球上空80km以上の宇宙空間で数分間の無重力を体験して、地球にもどってきました。
以降(いこう)も、このような有人宇宙飛行が何度かくり返し実施(じっし)され、2023年にはいよいよ本格的な宇宙旅行が始まると言われています。ここに紹介(しょうかい)した3社は、すでに宇宙旅行の予約を受付開始しています。旅行の内容と料金は次の通りです(2022年11月現在/今後変更(へんこう)になる可能性があります)。今はまだかなり高額ですが、いずれはだれもが宇宙に旅行できるようになるでしょう。

  • スペースX社
    高度408kmにある国際宇宙ステーション(ISS)内に8日間滞在(たいざい)。ISS内には宇宙飛行士もいますが、そこで自由に過ごすことができます。5,500万ドル(約76億円)
  • ヴァージン・ギャラクティック社
    高度80kmで数分間無重力状態を体験(サブオービタル飛行)し、飛行機の着陸のように地上へ帰還(きかん)します。45万ドル(約6,200万円)。すでに世界で800名ほどが支払い済み(しはらいずみ)。日本では(株)クラブツーリズム・スペースツアーズが代理店を務めています。
  • ブルーオリジン社
    高度100kmで数分間無重力状態を体験(サブオービタル飛行)し、パラシュートのついたカプセルで地上へ帰還します。20万ドル(約2,700万円)

その他

地球外の星に人は
住めるの?

地球には、人間が生きていくために必要な3つの条件-水と空気と太陽光-がそろっています。この3つがあれば、他の星でも人が住めるはずですが、今のところ、そのような星は見つかっていません。地球に近い金星や火星には太陽の光がありますが、空気はありません(ほとんどが二酸化炭素です)し、火星では水が発見されましたが、ごくわずかで、人間が住むことはできません。ただ、地球がある太陽系(たいようけい)を含む(ふくむ)銀河系には2,000億個の星があり、宇宙には銀河が1,000億以上あると言われています(天文学的な数です)ので、そのどこかの星に、生命体がないとは言い切れませんね。
現在、米国NASAは、月面探査(げつめんたんさ)プログラム「アルテミス計画」を進めています。この計画では、2025年以降(いこう)に月面に人類を送り、2028年には人類が活動できる月周回ステーション「ゲートウェイ」の建設を目指しています。このゲートウェイを拠点(きょてん)に、2035年には火星への有人飛行、さらに、その先には2040年に月面都市の建設、2050年以降にはスペースX社が火星に1万人都市の建設を発表しています。この計画が予定通り進めば、20数年後には地球外の星に人が住むことになるかもしれません。

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