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ニュースリリース

災害支援に衛星IoT利用
首都直下地震想定「大規模地震時医療活動訓練」でDMAT隊員の活動を支援

2019年09月09日

 スカパーJSAT株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 執行役員社長:米倉 英一、以下スカパーJSAT)は、2019年9月7日に実施された内閣府主催「大規模地震時医療活動訓練」に参加し、衛星通信と、GPSトラッキング機能を持つLPWA端末(Low Power Wide Area)※1とを組み合わせた災害救助活動支援ネットワークを臨時構築し、DMAT隊員による安全で的確な救助活動のための通信手段提供の実証ができたことをお知らせします。

 今回の「大規模地震時医療活動訓練」は、首都直下地震を想定して実施されました。一般的に、災害の発生後には被災地との情報通信網が途絶する懸念があり、これは円滑な救助活動の妨げにもなります。さらに、救助活動の最前線に立つDMAT隊員と災害対策本部の間のリアルタイムの情報伝達不足は各種二次災害が起きる危険性もはらんでいます。この課題解決のため、災害対策本部とDMAT隊員の間の情報伝達の手段として、スカパーJSATの衛星通信サービス「ExBird(エックスバード)」※2と、GPSトラッキング機能をもつLPWA端末を訓練に提供し、DMAT隊員はこのネットワーク環境を利用して訓練に臨みました。

 <訓練概要>
(過去の訓練での課題)全国から派遣されるDMAT隊員は、本部指示に従い首都圏入り口に位置する高速SA等に設営される参集ポイントから直接災害現場に入るが、情報通信網の途絶により、本部は配備が予定通り進んでいるのかの情報収集できなくなる。過去の訓練においては、DMAT隊員が被災地に入る前にGPSトラッキング端末を装着することで一定の位置情報は得られるという推測はあったものの、通信環境途絶の中で、GPSトラッキング情報収集が機能しなくなることが推測されていたため、GPSの活用は今まで行ってこなかった。 

上記課題解決のため、DMATが導入する衛星通信アンテナ拠点に2種類のLPWA端末を臨時併設し、クラウド上にあるサーバまでの伝送路を衛星通信と組むことで被災地通信網が寸断された状態にあってもDMAT隊員の位置情報を収集できることの実証を行った。

(実施内容_1)

日時:   2019年9月7日(土)9時~17時

場所:   神奈川県全域

協力会社:ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社※3

使用機器:同社開発のELTRES規格※4を採用したLPWA端末。長距離伝送に特長があり、見通しがあれば100km以上の通信が可能。

内容:   神奈川県の通信網が寸断した想定で、ソニー厚木テクノロジーセンターと横浜労災病院に臨時設営したELTRES受信アンテナ+スカパーJSATのExBirdサービスとGPSトラッキング機能をもつ上記ELTRES端末でクラウド上にあるサーバまでの伝送路を構築、上記端末を装着したDMAT40チームが神奈川県内のどこで活動しているか確認する仕組みを構築する。

結果:     臨時設営拠点2拠点のみで神奈川県の大部分をカバーし、隊員の動静を本部で確認できる仕組みを臨時に構築できた。この結果、この仕組みを活用することにより、広い地域で活動するDMAT隊員と本部間の位置共有手段としてGPSトラッキング機能をもつLPWA端末が有効であることが実証できた。

実施内容_2)

日時:   2019年9月7日(土)9時~17時

場所:   帝京大学医学部附属病院(東京都板橋区)とその周辺地域

協力会社とその役割

IoTBASE株式会社
・IoTデータモニタリングサービス「IoTCanvas」※5の提供

菱電商事株式会社(電気通信事業者)※6
・電気通信事業者としてLoRa送受信アンテナ及びLoRaWAN通信サービスの提供

株式会社グリーンハウス ※7
・LoRa端末の提供

使用機器:LoRaWAN規格を採用したLPWA端末。GPSトラッキング機能に加え、現場に入るDMAT隊員への伝達手段となるアラーム機能を搭載。

内容:   東京都の通信網が寸断した想定で、被災地の拠点病院(帝京大学医学部附属病院)に臨時設営したLoRa送受信アンテナ+スカパーJSATのExBirdサービス経由でクラウド上にあるサーバまでの伝送路を構築。従来、DMAT隊員は衛星携帯電話や無線などを携行して災害現場で活動するが、着信できない通信環境下での活動も否定できない。本実証では、DMAT隊員からの位置情報発信に留まらず、本部からの連絡手段の検証として、アラームを搭載したLoRa端末 も携行。2次災害の発生リスクなど、緊急性の高い状況を隊員に知らせる一次手段としてLoRa端末のアラームを鳴らす運用を実施した。

結果:     到達エリアが広く携帯性のよいLoRa端末のアラーム機能を有効活用することができ、本部からの緊急通報が速やかに届くことを実証できた。

 スカパーJSATは、病院・医療機関の皆様、本実証にご協力いただいた関係各社と共に、いつ起きてもおかしくない地震などの災害時に備え、今後も衛星通信の特性を活かしたサービスで災害医療に貢献してまいります。

※1  LPWA(Low Power Wide Area):省電力で広域をカバーすることができ、IoT 用途での利用に適している無線通信技術。 低消費電力+長距離伝送を活かした IoT システムを構築することができる。

※2  ExBirdサービス:衛星通信の特長である「耐災害性」、「広域性」を活かした通信ネットワークサービス。容易かつスピーディに衛星通信を導入することができる。
   ExBirdサービスサイト:http://www.jsat.net/jp/satellite/exbird/index.html

※3 ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 https://www.sony-semicon.co.jp/

※4  ELTRES https://www.sony-semicon.co.jp/products_ja/eltres/

※5  IoTデータモニタリングサービス「IoTCanvas」:取得したセンサーデータを可視化するWebアプリケーションhttps://iotbase.co.jp/service/iot-canvas/

   IoTBASE株式会社 https://iotbase.co.jp

※6  菱電商事株式会社 https://www.ryoden.co.jp

※7  株式会社グリーンハウス https://www.green-house.co.jp

以上