メディア事業
スカパーJSAT株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 執行役員社長:米倉 英一、以下「スカパーJSAT」)は、2023年より株式会社エフエム東京、株式会社ジャパンエフエムネットワークおよびJFN加盟局(以下、JFN)やメーカー等のパートナー企業とともに、複数のラジオ局の放送マスターを「スカパー東京メディアセンター(以下、TMC)」のプライベートクラウド環境(放送局専用に構築するクラウド環境)に集約する国内初の実証実験を行いました。
本実証は各社が自社で放送マスターを設備するのではなく、汎用的なネットワーク回線を通じてTMC内にリモート環境として設置した統合型のマスター「次世代型ラジオマスター」を利用することで、設備投資や技術スタッフの効率化による運用コストの削減を目指すものですが、加えて今回の実証ではシステムの冗長構成や音声遅延など技術的にも実用化に十分な品質が達成できることも確認ができ、持続的なラジオ放送に関わる業界共通の課題解決につながる具体的な成果を得ました。
今後は、AIなど新技術の導入や配信・DBの連携などコンテンツ集積による新たなビジネス創出にも積極的に取り組みながら、2028年のサービス提供開始を目指して 実験参加局をはじめとする全国のラジオ局、関係メーカー等と検討を進めてまいります。
【背景】
従来のラジオマスター設備は専用ハードウェアで構成されており、それ自体が直接競争力を生み出すものではないにも関わらず、キー局で数億円、地方局でも1億円規模の導入費用や保守費用がかかり、ラジオ局の大きな負担となってきました。インターネット広告市場の拡大などラジオ局を巡る経営環境が変化する中、こうした設備投資負担や少子高齢化に伴う技術人員の確保が、将来に向けた大きな経営課題となりつつあります。
これらの課題を解決するため、20年以上にわたりスカパーJSATの通信衛星を系列JFN加盟局向けの番組配信に利用しているエフエム東京、JFNとともに、共同での実証実験を実施することとなりました。
今回実証した「次世代型ラジオマスター」は、局ごとに導入していた放送マスターを1カ所に統合し複数局で共用、運用、監視することで1局あたりの設備投資負担を削減することができます。また各局における技術人員の負担軽減も期待されています。
スカパーJSATは現在もTMCにてCS放送局や一部BS放送局を含むテレビ約70chの放送送出業務、200ch以上の送信、監視業務という統合マスター運用をおこなっており、この分野に適したインフラや多くの経験とノウハウを有しています。
【実証実験の概要】
本実証実験では「システムのミニマム化」「ソフトウェア化」「集約・統合化」「クラウド化」の4点を軸に検討が進められました。
TMCにソフトウェア型の統合マスターを設置し、各局とは通信キャリアが汎用的に提供している通信サービスで接続しコンテンツの送受信をおこないました。通信サービスは帯域が保証されている回線だけではなく、ベストエフォートの割安な回線も利用し、通信コスト削減の可能性についても検証しました。
2023年度の第1期実証では、JFN加盟局の6局と接続しデモ用のコンテンツを用いて検証をおこないました。想定通りの動作を確認できたため、2024年度の第2期では下図の構成で、各局の実際の放送コンテンツを用いて、一部の局とは実際に利用している営放システムのデータ(編成データ)と連携させるなど現実の放送を模した検証をおこない、遅延の影響や冗長構成の動作など利用可能なクオリティが実現できることを確認しました。
また第2期では、複数の放送音声をリアルタイムで同時監視する運用手法の検証を実施しました。さらに衛星回線やパブリッククラウドサービス(AWS)を用いた災害対策についても検討し、大規模災害によって地上の通信サービスが遮断された場合でも放送を継続できる仕組みについても実証を行いました。
加えて「次世代型ラジオマスター」に必要となる設備投資額や通信回線、運用人員などの費用の試算も並行して行い、十分な経済合理性が得られることも確認しました。
<第2期実証試験図>
【主な実証内容】
・ソフトウェアベースでの統合マスターの動作確認・複数の汎用通信回線を組み合わせた、安定した音声伝送方法の確認
・十分な冗長性を確保しつつ音声遅延を最小化(100ms以下)する方法の確認
・複数のラジオ局の放送音声を同時リアルタイム監視するシステムの検証
・災害等によるネットワーク障害時に衛星回線で放送を継続できることを実証
・集約によりマスターに関わる設備投資額と運用人員を大幅に削減できる可能性を確認
設備投資:7局統合で設備投資額は約50%減、20局統合で約65%減
運用人員:20局統合の場合で約75%削減
【今後の展開】
実証実験で得られた成果をもとに、2028年の「次世代ラジオマスター」サービスの提供開始を目指してまいります。実験参加局をはじめとする全国のラジオ局と協議をしつつ、統合化によるスケールメリットを活かすとともに、AIなど新技術の導入や災害対策強化、コンテンツ集積による新たなビジネスチャンスの創出にも取り組んでまいります。
また長年培ってきた多チャンネル衛星放送マスターシステムの構築・運用の知見を活かし、ラジオ局のみならず、地上波テレビ局のマスター統合化においてもスカパーJSATのインフラと経験を提供し、業界の発展に貢献してまいります。
今後も、メディア事業で培った運用の知見と技術を結集し、業界横断の協業を通じて、安心・効率・多様性に満ちた放送の未来と豊かなコンテンツ文化の拡大を目指してまいります。
<スカパーJSATが考える統合マスターの可能性>
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