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重要課題(マテリアリティ)

グループミッション「Space for your Smile」のもと、地域・社会の一員として、ステークホルダーとの協働により、より豊かな社会の実現に取り組んできたスカパーJSATグループは、「SDGs(持続可能な開発目標)」の取り組みを強化し、社会から必要とされ、持続的な成長を続けるサステナビリティ経営の実現を目指しています。

その一環として、宇宙から海洋まであらゆる空間をビジネスフィールドとする宇宙事業と、衛星多チャンネル放送「スカパー」のプラットフォームとして番組の放送、顧客管理、販売促進業務を行うメディア事業の特性を踏まえ、当社グループが取り組むべき重要課題について精査し、外部有識者をはじめ多くのステークホルダーの方々との対話を行い、取り組むべき重要課題テーマを特定しました。

今後、当社グループを取り巻く経営環境やグローバルで求められる社会課題の要請の変化に適切かつ柔軟に対応すべく、適宜重要課題の見直しを図ってまいります。また、重要課題に取り組むにあたっての目標を設定してまいります。

9つの重要課題テーマ

スカパーJSATグループでは、宇宙事業、メディア事業のそれぞれの特性を踏まえ、当社グループが事業を通じて取り組むべき9つの重要課題テーマを特定しました。

  • E(環境)S(社会)G(ガバナンス)各重要課題テーマ

    太字は特に注力するテーマ

重要課題(マテリアリティ)とSDGsへの貢献

  • 当グループの重要課題表は、笹谷秀光氏の監修によるESG/SDGsマトリクスの手法によって整理されています。

重要課題の特定プロセス

重要課題(マテリアリティ)の特定にあたっては、スカパーJSATが解決すべき社会課題とは何かをSDGsを起点に抽出したうえで、社内の全部門によるディスカッションの実施、取引先企業、団体へのヒアリングや外部有識者とのダイアログなどを通じ、社内外の視点を十分考慮し、協議を重ねました。

1. 現状の把握と、取り組むべき課題の洗い出し

社会から必要とされ、持続的な成長を続けるサステナビリティ経営の実現を目指すにあたり、当社グループでは「サステナビリティ委員会」を立ち上げました。経営企画担当取締役が委員長を務め、各部門リーダーで構成される同委員会のもとに、全部門からアサインされた担当者が、重要課題の特定に取り組みました。

事業活動の現状把握と分析、および今後取り組むべき課題について、議論と検討を重ねるにあたっては、SDGsの169ターゲットやISO26000といったグローバルな指針やガイドラインと照らし合わせ、また他社の重要課題も参考にし、有識者の意見も取り入れました。

このような議論と検討を経て、スカパーJSATグループが取り組むべき社会課題の候補をリストアップしました。

2. 課題の評価と優先順位付け

  • スカパーJSATの重要課題 当社とステークホルダーの両社にとって重要な中長期の課題

リストアップされた社会課題の候補について、経営層、委員会、マテリアリティ担当者で議論を重ね、課題の評価と候補の絞り込みを行い、当社グループの持続的な成長への寄与の観点から経営視点の重要度を定めました。

一方、取引先企業・団体へのヒアリングや有識者からの意見を踏まえ、ステークホルダーや社会からの要請を反映したステークホルダー視点の重要度を定め、この2軸を掛け合わせて重要課題の評価と優先順位付けを行いました。

3. 有識者の第三者意見

優先順位付けを行った重要課題について、客観性、妥当性を確認するため、外部有識者とのダイアログを実施し、第三者の意見を取り入れました。

4. サステナビリティ委員会、経営会議、取締役会での承認

有識者からの意見を反映させ、9つの重要課題テーマと、その下に連なる21の重要課題(マテリアリティ)を特定しました。それらについてスカパーJSATグループとしての妥当性を、マテリアリティ担当、サステナビリティ委員会、経営会議で確認し、最後に取締役会の承認を得て、決定しました。

重要課題に対する有識者の第三者意見

  • 以下は、笹谷秀光氏のファシリテートにより行われた吉高まり氏および井之上喬氏と本社幹部とのダイアログからの概要である。

有識者意見1 : ESG投資の視点から

  • 吉高まり

吉高 まり 氏

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
経営企画部副部長 プリンシパル・サステナビリティ・ストラテジスト
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科講師(非常勤)

衛星とデータを活用した「気候変動対策」への新たなアプローチを掲げた、稀有な重要課題に期待します

これら重要課題を拝見した中で、今、スカパーJSATグループが前面に出すべき重要課題テーマは「気候変動」でしょう。日本政府がカーボンニュートラル宣言をしましたし、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への対応は、世界的に、義務化しつつある中、国内でも多くの企業が賛同し、取り組みを始めています。そのような中、環境課題をどう捉えているかを示すこととして重要です。

「レジリエントな放送・通信インフラの構築、情報格差の解消」の重要課題テーマは、放送・通信インフラとデータを活用して気候変動に強靭なインフラ構築とともにCO2削減を支援する本業としてのビジネスストーリーとし、社会(S)だけでなく気候変動にも貢献するものとして発信してはいかがでしょう。重要課題「リモートセンシングの開発・推進」も、同様に環境への貢献をより意識することをお勧めします。

ダイアログ時にこのような提言を私からさせていただいたのですが、その後さらなる社内協議を経て、「脱炭素社会と循環型経済の実現に向けた環境への寄与」という重要課題テーマとして表現したと、伺いました。また重要課題「衛星および地上設備等における再生可能エネルギー利用、エネルギー効率向上の推進によるCO2の削減」では自社排出のCO2削減を、「衛星を利用したCO2削減の支援」は他社の再生エネルギー発電の支援に取り組む旨を明確にしたとも、伺いました。気候変動への取り組み姿勢が伝わる重要課題となっており、大変よろしいのではないでしょうか。

また、気候変動とともに国際社会では「人権」が重要視され、日本の企業の意識の低さが問題とされています。重要課題「暴力・人権・差別等のコンテンツへの適切な対応」は、メディアのプラットフォームを提供する企業として文字通り重視すべき課題でしょう。独自の放送倫理規定などをどう実行しているかが重要になってきます。ぜひ意識を高く持って取り組んでいただきたい。

また世界の機関投資家は、ダイバーシティが進んでいる企業はイノベーションが起こりやすいと認識しています。日本においてはジェンダー不平等が問題視されることが多いですが、実は、男性への偏りだけではなく、同質すぎる経営陣の意思決定にこそ経営のリスクがあると考えられています。この課題はすぐに解決できるものではなく長期のロードマップが必要で、どう前倒しにしていくかを考え、示していくことが求められています。そのため「多様な人財の活躍」という重要課題テーマに、どうKPIを立てていくのかも今後重要でしょう。

有識者意見2 : サステナビリティの情報発信の視点から

  • 井之上喬

井之上 喬 氏

株式会社 井之上パブリックリレーションズ
代表取締役会長兼CEO 博士(公共経営)

独自色のある重要課題だからこそ、経営トップによるストーリーテリングが問われる

企業が重要課題を特定し、発信を行うことはパブリック・リレーションズ(PR)につながります。経営トップがストーリーテラーとして、財務面だけでなく非財務面も含めたサステナビリティを、経営戦略として常に発信していくことが重要です。

パブリック・リレーションズ(PR)においては特色を示すことが鉄則ですが、今回特定した9つの重要課題テーマのうち、「レジリエントな放送・通信インフラの構築、情報格差の解消」や「多様なコンテンツによる生活の豊かさの向上」は、メディア事業と宇宙事業の特性をよく表しており、とくに重要な役割を果たすものと考えます。

そして「宇宙環境の改善」は、他社ではなかなかまねできない独自の課題とはいえ、グループの強みとして、国際的にも発信していくとよいテーマです。というのも、現在、宇宙に1万機もの衛星があり、スペースデブリ(宇宙のゴミ)が人類共通の問題化となる中で、スカパーJSATグループがそのイニシアチブをとることにより世界的なニュースになるなど、SDGsでの大きなブランディングにつながる可能性があります。スペースデブリの事業は、完全な事業化には至っていないとお聞きしていますが、パブリックリレーションのコストと考えれば、将来、十分なリターンが得られ、企業価値の向上へとつながることでしょう。したがって、重要課題としての優先度は非常に高いと考えます。

また「環境や社会に寄与するイノベーションの推進」を考えるうえでは、自社の技術を磨くだけではなく、技術開発に取り組むベンチャー企業を資金面で協力するといった、パートナーシップも視野に入れた支援を考えるのも重要です。

今回特定された重要課題テーマを、ぜひ今後は広報部門が戦略的に発信していっていただきたい。日本企業の多くは報道機関などメディア側の都合に従って取材に応じていますが、スカパーJSATグループとしては、そのような対応をとるのではなく、事前にプログラムされたPRプランに基づいて、ステークホルダーに対しプロアクティブに発信していくこと、またサステナビリティをストーリー化させ、メッセージとして伝えることが肝心です。これにより重要課題への取り組みに対する投資を中長期で回収し、企業価値のさらなる向上が可能になると考えます。

有識者意見3 : SDGsを起点にしたCSVの視点から

  • 笹谷 秀光

笹谷 秀光  氏

CSR/SDGsコンサルタント
千葉商科大学教授 博士(政策研究)

SDGsのプラットフォーマーとして、ルールメーカーになり、企業価値の向上へ

今回特定された22の重要課題(マテリアリティ)と9つの重要課題テーマは、SDGsの169ターゲットを、ISO26000の7つの中核主題やESGに照らし合わせ、私が提唱する「ESG/SDGsマトリクス」の手法で整理されているので、国際社会や海外投資家が見たときにも、理解しやすい形になっていて、大変よろしいかと思います。

重要課題を特定する際には、CSRのように非財務だけの訴求に偏ってはいけません。投資家からは、果たしてその課題解決を通じて経営が持続的に強くなるかという視点が求められるからです。例えば「レジリエントな放送・通信インフラの構築、情報格差の解消」という重要課題テーマはもちろんとても良いのですが、これに対するコスト、投資をどのように考えているのかも、必ず併せてチェックされます。財務と非財務のシンクロがいわゆる統合思考と言われるものです。つまり、社会課題解決と利益創出の同時実現を狙うCSV (Creating Shared Value)の実践です。報告書にする際は忘れず意識してください。

また、「レジリエントな放送・通信インフラの構築、情報格差の解消」、「脱炭素社会と循環型経済の実現に向けた環境への寄与」、そして「環境や社会に寄与するイノベーションの推進」は、メディア事業、宇宙事業の共通した重要課題テーマとして位置付けておられ、非常に注目に値すると感じています。私はこれらを通じ、貴社が“SDGsのプラットフォーマー”として取り組みを推進することを、強く提言したいと思います。スカパーJSATグループのような業界トップのプラットフォーマーがSDGs化すると、周りへの波及効果は絶大です。世界共通言語であるSDGsには言わば磁石のような力があり、SDGs企業が集まり、そこから優良なSDGsコンテンツをつくるイノベーションが起こる可能性が高いと考えます。そのためにも、SDGsは取り組む社会・環境課題を客観化する効果がありますので、これを使って重要事項を選定した今回の作業プロセスは素晴らしいですし、世の中に発信していくとSDGsの視認性の高さも相まって世界的に訴求力が出てきます。

重要課題を特定した次のフェーズとして、2つの軸が大事になってくると考えています。時間軸とパートナー軸の2軸です。

時間軸とは、まずSDGsの目標年次である2030年にあるべき姿としての理想的なゴール、野心的な目標を描いて、そこからバックキャストして、現在今はどうすべきかと具体的なアクション考える必要があります。ステークホルダーからは、その実現に向けてどのような中長期のロードマップを描いているかを問われますので、その際の回答にも今回の作業が役立ちます。

次にパートナーシップ軸ですが、バックキャストで設定した、高い目標の達成には、イノベーションが求められます。ですが、複雑な課題対処にはイノベーションは1社では限界があり、ここでパートナーが必須になってきます。これは他社も同様で、だからこそ、宇宙事業、メディア事業のそれぞれの特性に応じた、SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」と目標17「パートナーシップ」が重要です。貴社の衛星インフラやデータを活用した、他社の再生可能エネルギー発電の支援は目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」につながります。「衛星を利用したCO2削減の支援」や、さまざまなSDGsの達成に大きな可能性を秘めている「リモートセンシングの開発・推進」は、目標13「気候変動」のカーボンニュートラルに向けた取り組みを急加速させている他社が必要とするものですし、貴社にとっても協業は有益なものになるでしょう。

そうして拓いた、新たな市場や事業における協業によるイノベーションとそれによる競争優位の実現を狙うのがCSVです。これは持続的な企業価値の向上へとつながっていく、大きな鍵となることでしょう。

  • 当グループの重要課題表は、笹谷秀光氏の監修によるESG/SDGsマトリクスの手法によって整理されています。