多層的な衛星ネットワークの実現と「通信×非通信」の両輪で、
宇宙ビジネスの未来を切り拓いてまいります。
日頃より当社グループにご理解とご支援を賜り、心より御礼申し上げます。
当社を取り巻く事業環境は、急速な変化が続いています。グローバル市場における低軌道衛星事業者の存在感の増大、国内外での宇宙関連スタートアップ企業の勃興など、宇宙ビジネスはまさに転換期を迎えています。また、政府の宇宙政策の推進や国際市場における通信需要の高まりを背景に、官民の協働はますます深化しております。
このような状況下において、宇宙事業では二つの大きな挑戦に取り組んでいます。一つは、静止軌道衛星通信の盤石な基盤に、低軌道や中軌道、HAPS(高高度プラットフォーム)を加えた多層的な通信ネットワーク、Universal Non-Terrestrial Network(非地上系通信ネットワーク)の構築です。既存ビジネスを柱に「圏外のない社会」の実現を目指します。もう一つは、これまでの静止軌道から低軌道へとビジネスフィールドをさらに拡げた、地球観測・データ解析サービスなどの非通信分野への本格進出です。世界最高水準の解像度を誇る低軌道地球観測衛星群を自社保有することで、今後はより主導権を持った販売活動を展開することが可能となります。安全保障を中心とした官需を着実に獲得するとともに、民需を自ら切り拓き、市場を拡大してまいります。
メディア事業では、多チャンネル有料放送の既存ビジネスをより一層効率化させ、安定的な利益創出を目指します。また、競合環境や視聴者動向の急速な変化にも対応しながら、光再送信サービスの拡大や、コネクテッドTVを用いた広告配信プラットフォーム構想、アニメコンテンツによるグローバルIPビジネスなど、放送に依拠しない事業開発を加速させています。
近年、株式市場へ上場する宇宙ビジネス関連企業が増えてきています。宇宙開発への注目や関心が高まることは、当社の企業価値を再認識していただく絶好の機会と捉えております。1985年の通信自由化に緒を発する当社実績への信頼をアドバンテージとしながら、あらゆるパートナーとの事業上の協働や、株式市場での切磋琢磨を通じた企業価値の向上に努めるとともに、株主様のご期待に応えるべく、資本効率を意識した成長投資の着実な実行など、社会的価値と経済的価値の両方を創出する経営をお約束いたします。
引き続き皆様のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
2025年4月
代表取締役社長