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次世代のため地域のため

「それぞれの未来ストーリー」 Vol. 5
コンテンツ編

野球コンテンツ×サステナビリティ

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「それぞれの未来ストーリー」は、Space for your Smileな未来に繋がる取り組みについて、当社グループの社員にインタビューするシリーズです。

スカパーでは、20年以上におよぶプロ野球中継の実績を誇り、2019年からは公式戦全試合放送・配信を実現するなど、常にプロ野球ファンに寄り添ったサービスを提供してまいりました。

一方で、現在は少子化による将来の野球人口の減少も危惧される中、「スポーツへの熱」を絶やさない活動にも取り組んでいます。プロ野球に留まらず学生から社会人までのアマチュア野球を積極的に取り上げることで、野球ファンが野球熱をずっと持ち続けられる “目標”を届けたい。また、引退した選手と野球中継を楽しめる、ファン同士のコミュニティを目指した新しいサービスも立ち上げました。

未来の野球界の種まきに力を入れる、熱いお二人にお話を伺いました。

―――今回インタビューしたメンバー

集合写真

左から佐藤さん、松元さん

スカパーJSAT株式会社
メディア事業部門 メディア事業本部
コンテンツ事業部
松元 圭さん(スポーツ第1チーム長)
スカパーJSAT株式会社
メディア事業部門 メディア事業本部
コンテンツ事業部
スポーツ第1チーム
佐藤 一軌さん

サステナビリティに関連して取り組んでいる「アマチュア野球」コンテンツについて

―――業務の中でサステナビリティに関連して取り組んでいることについて説明をお願いします。

佐藤さん:野球ジャンルの担当をしていますが、サステナビリティという意味では、スポーツとエンターテイメントを通じて地域に貢献していく、地域を持続的に発展させていくことがプロスポーツの存在意義だと思います。各スポーツ団体もそういう考えがありますので、まさにそれはサステナビリティそのものではないでしょうか。

もちろん、当社しては目の前の1件の加入も大事ですし、球団は目の前のチケット1枚の販売も大事ですが、持続的に地域を発展させるために「スポーツへの熱」を絶やさない活動に力を入れることもやらなければならないと考えています。

野球界の未来のための取り組みとして、学生から社会人までのアマチュア野球を取り上げています。少子化でどんどん子どもが減っているなか、我々がコンテンツとしてアマチュア野球を取り上げることでここを目標として野球を続けてくれる子どもたちが増え、野球に接する機会を持ち、野球熱が冷めずにずっと続くことが、最終的にプロスポーツに還元されることにつながっていくと思います。球団と一緒になってそのお手伝いをしたいという思いで去年から活動しています。

佐藤さん

スポーツライブ+では、2020年3月開局以来、福岡ソフトバンクホークス様の1軍戦をずっと放映しています。それだけではなく、野球の裾野を広げる取り組みに力を注ぎたいという考えから「アマチュア野球も幅広く取り上げていきます」というメッセージを出しています。

実際に2022年度は、福岡ソフトバンクホークス様と協力し3つのコンテンツを実施しました。

1つ目は、中学生が出場する硬式野球大会「ホークスカップ」。九州・沖縄・山口地区9県のクラブチーム№1を決める大会です。昨年はこの中継を準々決勝から生中継で無料放送・無料配信をしました。

2つ目は、小学生を対象とした「ホークスジュニア」。これも一次選考会から始まり、最終的に選ばれた16人のホークスジュニア選手が年末にNPBジュニアトーナメントという大会に出るのですが、それを8月から約半年間密着してドキュメンタリー番組をつくりました。

3つ目は、「クイーンズトーナメント」という大会です。女子の高校生、大学生、社会人の各カテゴリーからチームが出場し、最終で8チームのトーナメント戦を行います。そのトーナメント戦の最後の決勝戦の中継を配信しました。

女子は小学校までは男子と一緒に少年野球チームに入るのですが、中学校になると野球チームがないのでソフトボールに行くんですよ。でも、野球を続けたい子はたくさんいます。続けたいものを続けさせてあげられる環境があった方がよいでしょう。

「女子はソフトボール、男子はそのまま野球」って、ちょっと優しくないなと思っています。我々がその環境を大きく変えることはできないですが、クイーンズトーナメントという大会があって、高校に行くとこういうチームがある、オールクイーンズという強いチームが出場しているなど、目標があることを示してあげれば頑張れるんじゃないかと思っています。そういうことを知らせる意味もあり、まさにサステナビリティやSDGsなどにつながるコンテンツです。

すべて無料で放送・配信しています。とにかくこのコンテンツを世の中に広く知ってもらって、こういうものがあるんだったら頑張ろうと目標にしてほしいという想いからです。これらはホークス様と一緒に取り組んでいて、「スカパーと組んでよかったです」と言ってもらえているので、我々もかなり熱を入れてやっています。これが回り回って“我々の未来の加入1件”になると思っていますし、ホークス様にとっての“1枚のチケット”になると思っています。すぐ目の前のリターンがあるわけではないですが、そこはサステナビリティ的な考え方でやっていることです。

<参考>

―――反響はいかがですか。

佐藤さん:携わっている関係者、親御さん、地域の人が無料放送・無料配信ですごく喜んでくれています。それはある種当然のことなので、その外側にいる人たちにもっと見てもらうのが次の目標です。野球をやっている子どもがいる、これから野球をさせたい親御さんなど、野球をやっている人たちにこういうコンテンツがあることをしっかりリーチするのが次のステップです。

松元さん:今、スポーツコンテンツは消費されるばかりの状態です。スポーツコンテンツを通して目標を作ってあげることは、今後の野球というスポーツの「持続性」においてとても大事だと思います。僕も子どもが野球をしていたのですが、やはり甲子園が究極の目標であって、それを目指せないと競技スポーツとしてはあまり価値がないというような雰囲気があります。地域の子どもに、甲子園じゃなくても地方に大きめの大会が存在して、その大会を目指せるということを伝えられればと思います。

―――今後、子どもたちが目指したい大会になればいいですね。

松元さん:テレビで放送されるかされないかで全然モチベーションが違うんですよ。プロ野球と同じカメラアングルで映るとなるとこれは頑張りたくなっちゃいますよね。

松元さん

佐藤さん:最近は安く配信ができるようになったので動画配信するところもありますが、一般の方がカメラを回して編集もせずにただ流すのは、我々が作っているクオリティとは全く違うものです。当社はプロの一軍の試合と同じ制作のメンバーが作って一人ひとりの情報も入れて作っていますので、やはり満足度も違うと思うんです。制作ディレクターにもそういうことをやりたい人が多いようで、共感していただき、我々が期待している以上のものを作ろうと頑張っていただいています。

―――先ほどおっしゃった未来の種まきという意図には大いに共感しますが、目先の利益はなかなか得られないのではないかと思います。社内はどのように説得されているのでしょうか?

佐藤さん:一緒に説得してほしいです(笑)。まず、これはそもそも加入を取れるコンテンツではない、でもそれなら必要ない、とならないようにコンテンツ自体の価値を上げて、協賛してくれるスポンサーさんからお金をいただくというのがやはり一番理想のモデルだと思っています。ただ、今の価値だとその放送(中継)に対して大きなお金を出してもらえるところはなかなかないので、今はまだできていないところですけども、我々の製作費ぐらいをスポンサードしてもらえるところを目指さなきゃいけないなと思っています。こういった活動についてしっかり会社に対しても示して、営業の方と一緒にやっていきたいですね。

サステナビリティやマテリアリティに対する意識

―――部内や個人単位でどのようにサステナビリティやマテリアリティを認識していますか?

佐藤さん:今メディアに求められていることは現状の放送・配信だけじゃない、新しいアイディアが何かないかということを常に考えなきゃいけないと思っています。アイディアが採用されなくても提案し続けないといけない。

課題があるところに新しい取り組みが必要になりますよね。その課題ってなんだろうと考える時に、マテリアリティが立ち戻る場所になると思います。多様な人財が活躍できる社会にしたいというテーマがマテリアリティにはありますが、今回「カープ県」というサービスを考えたときに、それが野球界でも課題だと思っていましたし、会社としてもそれを課題にしていることがサービスを考える上でのスタート地点にありました。新しいことを考える時はマテリアリティも踏まえるようにしています。

松元さん:一生懸命意識して、マテリアリティだけにフォーカスして仕事をすることはあまりないかなと。まずはしっかりと会社が存続して、この会社の従業員とその家族を守ることが一番だと思っています。利益を考えずに世のため人のためになることばかりを考える必要はありません。会社の利益やプレゼンスを上げ、扱っているコンテンツの裾野を広げていく過程で、アマチュア野球のトーナメントが世に出て、元プロ野球選手がコーチになれたり解説ができたりという多様な人財の活躍や雇用の創出に繋がれば、そこに新たな雇用が生まれ、選手だけじゃなくその周りの人たちにも少しでも還元ができていくと、結果的にマテリアリティの観点に繋がるのではないかと思っています。

新サービス「カープ県」

―――次に、新サービスの「カープ県」について教えていただけますか。

<参考>

佐藤さん:広島県を模した2Dメタバースの空間を作っています。中央にマツダスタジアム、左上に由宇(ゆう)という2軍球場があります。皆さんにはこの空間の中に入ってもらって、試合やコミュニケーションを楽しんでもらうことができます。カメラ・マイクをオンにできるので、近くに来た人とボイスチャットやビデオチャット、テキストチャットもできます。

このメタバース空間を作ってやりたかったことは、先ほど話に出た「多様な人財」につながります。引退した若い選手とも一緒に野球を楽しみたいと言ってくださるファンがたくさんいます。

当社は配信権を持っていて映像は流せるので、「カープ県」の中にOB選手らに出演者として来ていただいて、その試合を皆さんと一緒に見てもらうことができます。視聴者が誰と一緒に3時間の野球中継を楽しむかを自由に選択できるようにしたいと考えています。それが結果的に、普段テレビ中継に出ないようなOBの方たちの仕事につながりますし、その人たちを応援することにもつながります。ファンが楽しめることをやりたいと思ってこの企画を立てました。遠方からの移動を含めたテレビ出演であれば1日がかりですが、オンラインであれば時間的な拘束も短くなりますので、そういった利点も含めてサービスが広がればいいですね。

実際に「カープ県」の球場の中に入ってみます。例えば誰かの推し部屋に入ると、この空間の中だけでチャットができます。このように推しが同じ人たちが集まって会話ができるスペースをいくつも作っています。スタジアムに実際に行くのは難しいけれど、誰かと一緒に試合を観たいという人たちが集まる場にしたいです。

カープ県 カープ県 球場に入る前

カープ県 カープ県 球場内


実際にここに参加した方とグループチャットをしながら試合を観て、ゲストの方、例えば広島の元監督と直接会話をしてもらうようなことができます。元監督と直接会話する機会はなかなかないですよね。オンラインだからこそできることを実現したいですし、ここで仲良くなって、リアルで一緒に球場に行こうというコミュニケーションが生まれたらすごくいいなと思っています。また、広島県外のカープファンの方の出会いの場やコミュニケーションをする場にもなればいいですね。

ただ、よくわからないサービスにはなかなか飛び込めないので、最初苦戦するのは間違いないです。最初の一歩目が本当に難しいと思っているので、そこを超えられるかが正念場です。

松元さん:費用がかかっているので、ここでも事業性が求められますよね。

野球選手 試合中継を見ながらグループチャットができる


松元さん:我々が実現したいことをやるには、3Dである必要はなく、2Dで十分だと考えました。30~40代を中心とした人が来るとすると2Dの方が親しみ深いですよね。

佐藤さん:この場所を同窓会や学習の場所などにも使ってもらいたいです。地方だと県外にいる人が多く、同窓会のために帰省することが難しいですが、オンラインだと手軽に集まって同窓会を開き、用事があればすぐ抜けるということもできると思います。学習というのは、例えば子どもたちをここに集めて、興味のある対象ごとにいろいろな教室を作って学習するという展開も想定しています。

(インタビュー日: 2023年5月23日)

当社グループは、スカパーだからこそできるスポーツとエンターテインメントの魅力を組み合わせ、ワクワクの体験を提供し続けていきます。私たちは、幅広いステークホルダー、具体的には子供たち、地域社会、お客様とパートナー、野球を愛するすべての人と野球界の未来に思いを馳せ、積極的に貢献してまいります。

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  • 4.質の高い教育をみんなに
  • 5.ジェンダー平等を実現しよう
  • 9.産業と技術革新の基盤を作ろう
  • 11.住み続けられるまちづくりを
  • 12.つくる責任、つかう責任
  • 17.パートナーシップで目標を達成しよう