スカパーJSAT

メディア事業|統合報告書2024

放送と配信を複合した、人と人、企業、社会をつなぐ プラットフォーム事業を強化します。

取締役

スカパーJSAT株式会社
メディア事業部門長
松谷 浩一

SWOT

SWOT

中長期の事業戦略

既存事業の収益性強化

放送・配信事業は、採算性の観点からこれまでのサービス内容を見直して収益を確保しながら、中長期的に放送・配信を複合したプラットフォーム事業を強化していきます。

OTT事業者との競争が激化していますが、加入件数だけでなく、顧客単価・契約期間の向上により中長期での収益性の維持・向上、具体的には「スカパー基本プラン」のような高単価で解約率の低い商品やパートナー企業と連携したコンテンツの充実で再加入の促進や契約継続に取り組んでまいります。

加えて、追加料金なしで放送番組をライブや見逃し配信を利用できる番組配信やデータ活用によるレコメンド等、お客さまの利便性、顧客体験の価値向上も図ってまいります。 また、スカパー東京メディアセンターの放送・配信設備と放送・配信事業で培ったノウハウを活用し、業界を超えて企業の課題解決を目指すメディアソリューションサービスを拡大します。特に、2021年に提供を開始した動画配信支援サービス「メディアHUB」については、BtoB領域における新たな収益源として確立します。

一方、約4,350万世帯※(37都道府県)の提供可能世帯数を有する光アライアンス事業は、販路における顧客接点を強化し、新規の多チャンネル加入獲得やアップセル等、スカパー サービスの基盤維持に努めます。また、ケーブルテレビ事業者向けに、パススルー方式による視聴鍵管理機能を提供するなど、引き続き有料放送市場の維持・発展にも注力します。

国勢調査世帯数により算出

新領域事業の展開

Web3関連施策やリアルイベント等を通じ、コンテンツジャンルごとにファンの嗜好に合わせた「ファン・マーケティング」を積極的に展開します。

また2024年10月より、新開発のストリーミングスティック「スカパー+(プラス)ネットスティック」のモニター向けサービス提供を開始し、有料・無料のさまざまな形式の動画配信サービスを大画面のテレビでお楽しみいただけるコネクテッドTVサービスを立ち上げます。さらに伊藤忠商事(株)をパートナーに迎え、アニメを中心とした映像コンテンツの企画・製作投資・販売および周辺事業の推進を目指し、2024年4月に「(株)スカパー・ピクチャーズ」を設立しました。

メディア事業は、衛星放送と動画配信ネットワークの両方を持つプレイヤーとして確固たるポジションを維持しながら、人と人、企業、社会をつなぐプラットフォームとして多様で創造性豊かな社会の実現に貢献することを事業ビジョンとし、基盤とする既存事業と新領域事業とを合わせ、2030年度にはセグメント利益50億円を目指しています。

メディア事業の重要課題とKPI

重要課題テーマ

マテリアリティ

長期

長期目標
(2030年にありたい姿)

短期

短期達成目標

2023年度活動実績

レジリエントな放送・ 通信インフラの構築/ 情報格差の解消

あらゆるエリア・環境への放送・通信インフラの提供

災害に強いレジリエントな放送・通信インフラの提供を通じたBCP及び救援・復興支援

どんなときも、地球上のあらゆるものや場所に対して信頼性の高いコネクティビティを提供することにより、特に条件不利エリアや開発途上エリア等におけるデジタルデバイドの解消と通信環境の改善に寄与し、人々のより自由な情報へのアクセスを実現する

さまざまな災害から人命・経済・暮らしを守り支えるための強靭な通信ネットワークを提供し、災害に対するレジリエンス強化に貢献する

災害時等に重要な情報源となる光ファイバー経由の再送信サービスの累計契約 件数を2024年(2023年度末)までに、273万件に拡大する

  • 放送および配信サービスを安全かつ安定して提供できる環境を向上する

  • 放送を通じて災害情報をいち早く視聴者に知らせ、災害から人命を守る

再送信サービスの累計契約件数:275万件

  • 竣工15年大規模建物修繕を実行開始(2024年度完了予定)

  • (株)スカパー・エンターテイメントが日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策計画を策定し、防災対策を実行開始

多様なコンテンツによる 生活の豊かさの向上

多様なコンテンツを、放送や配信、 さまざまな顧客接点で提供

多様なコンテンツホルダーの参入を支援し、 コンテンツ流通を促進

暴力・人権・差別等のコンテンツへの 適切な対応

さまざまなコンテンツやサービスを取り揃え、人々の価値観を広げる統合メディアプラットフォームを実現する 人々とコンテンツの出会いを促進し、観たいコンテンツを簡単に観ることができる世界をつくる

  • 衛星放送だけでなく、配信サービスや双方向機能をより活用し、人々がコンテ ンツを楽しめる機会を増やす

  • 配信サービスのコンテンツ数、放送および配信サービスの契約者数、 イベント開催数を増やす

  • コンテンツ提供者にスタジオ機能、コンテンツの伝送、配信機能等を統合的に 提供できる仕組みをつくる

  • コンテンツデータベースサービスを2023年度内に開始する

提供コンテンツのガイドラインに沿った適切な運用を実施し、時代の変化に合わせ随時改定を行う

  • 配信サービスのコンテンツ数:前年度比約2倍

  • イベント開催数:ブンデスリーガジャパンツアー他3件

  • 人々がコンテンツを楽しめる機会を増やすためにSPOOX利便性向上に向け新アプリ をリリース

  • メディアソリューションサービスの顧客数:前年度比増加

  • コンテンツ伝送、コンテンツデータベースサービスを提供開始。コンテンツ提供者向け メディアソリューションサービス「メディアHUBクラウド」の利用拡大を推進

  • スカパーJSAT提供サービスのガイドライン(2021年度策定)に沿った運用を継続実施

  • 社員への啓蒙、理解促進のため考査勉強会の継続実施

環境や社会に寄与する イノベーションの推進

放送・通信の高度化・技術開発による 新しい価値の提供

新たな映像サービス、新たな顧客サービスを提供し続け、社会を発展させる

メディア事業において顧客価値を高める新たなサービスを毎年投入し続ける

  • スカパーポイントプログラムを導入開始

  • スカパー+(プラス)ネットスティック サービスのドングル(端末)を開発中

地域・コミュニティの発展

次世代教育・地域共生などの社会貢献

アセットを活用した社会貢献を通じ、Space for your Smileを実現する

アセットを活用した社会貢献活動を継続および企画し推進する

地域活性化促進を目的に、福岡ソフトバンクホークスと連携した中学生の野球大会の 生中継、女子硬式野球九州大会決勝の生中継を無料放送・配信

レジリエントな放送・通信インフラの構築、情報格差の解消

光アライアンス事業によるデジタルデバイド解消
―光回線 で地上波/BS放送、FMラジオ等を再送信

スカパーJSATの、光回線(FTTH)を使った再送信サービス、光回線テレビは、電波が届かないエリアやアンテナが設置できない場所にも、インターネット回線を通じて地上波/BS放送、FMラジオならびにスカパーの光再送信サービスを提供しています。提供エリアは、NTTが提供するフレッツ・テレビの拡大と併せて徐々に広がっており、2024年6月末時点で提供エリアは37都道府県、提供可能世帯数は約4,350万世帯(世帯カバー率は約77%)に達し、今後も順次拡大します。

また、難視聴地域における放送サービスの課題解決促進を目的に4月に北海道伊達市大滝区、7月に兵庫県新温泉町でサービス提供を開始いたしました。

フレッツ光や携帯キャリア等の10ギガ含む光回線とのコラボによる戸建サービスの提供、マンションISP業界No.1の(株)つなぐネットコミュニケーションズと連携した大型集合住宅の受注も促進し、今後も、光回線テレビと光回線テレビ経由のスカパー加入者拡大に注力していきます。

光再送信サービスの提供イメージ

ケーブルテレビ事業者向け多チャンネル連携サービスが着実に拡大

ケーブルテレビ事業者向け多チャンネル連携サービスの採用局数が、サービスを開始した2022年度末の5局から2024年7月末には24局へと着実に拡大しています。

ケーブルテレビ事業者が提供するセットトップボックス(STB)を使って視聴する従来の多チャンネルサービスは、放送設備やお客さま宅のSTBの更新が大きな費用負担になることが課題となっていました。そこで、衛星経由で放送波を配信するとともに、ケーブルテレビ事業者のFTTH伝送網(パススルー方式)を活用し、視聴制御機能(視聴鍵信号管理技術)を提供するサービスを開始しました。これにより、お客さまはSTBを設置しなくてもテレビ・レコーダーの付属リモコンのみで視聴・録画が可能になり、ケーブルテレビ事業者の費用負担が軽減されます。

現在、全国のケーブルテレビ事業者の多くは、ACAS方式導入にともなう設備更新の検討時期を迎えており、今後も多チャンネル放送サービスの維持拡大のための選択肢のひとつとして、本サービスの採用が見込まれます。

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社会に寄与するイノベーションの推進

光アライアンス事業によるデジタルデバイド解消
―光回線 で地上波/BS放送、FMラジオ等を再送信

「スカパー+」は、TVに専用のストリーミングスティックを接続するだけで、普段スマホで視聴しているコンテンツを、誰でも簡単に、テレビの大画面で楽しめるサービスです。「スカパー 番組配信」に加え、「TVer」「NHKプラス」「Prime Video」「Hulu」「FOD」「U-NEXT」「SPOOX」「YouTube」など多彩な動画配信サービスをお楽しみいただけます。

ご自身のプロフィールを作成いただくと、視聴者/ユーザーのプロフィールや嗜好に沿って、スカパー コンテンツ(番組配信)とその他の配信サービスの関連コンテンツをシームレスに表示、お好みのコンテンツと出会える専用画面になります。サービスを横断したコンテンツ視聴・検索も可能です。また、Google Play搭載により音楽やゲームアプリなども楽しめます。

スカパー が放送事業で培ってきた編成力を活かし、専門チャンネルで出会ったコンテンツを、動画配信サービスでさらに深くお楽しみいただける、そんな顧客体験の実現を目指しています。本サービスの提供開始により、スカパー はコネクテッドTVサービスを立ち上げ、衛星放送プラットフォーマーから、放送・配信を横断したハイブリッド型プラットフォーマーへと大きく進化いたします。

コネクテッドTVサービス

地球観測衛星データで広がる可能性

(株)スカパー・ピクチャーズについてご紹介をさせていただきます。事業概要は「アニメを中心とした映像コンテンツの企画・製作投資・販売、および周辺事業」、分かりやすく言うとアニメを作って売る仕事です。
当時の、スカパーJSATグループ経営方針「スカパーJSATグルー ププラン2020+」にて示された「新たなビジネスフィールド進出とグローバル展開」におけるメディア事業のプラットフォームサービスに続く次期戦略の一つとして、自らがIPホルダーとなりスカパープラットフォームを超えてグローバルにビジネスを展開する「グローバルIPビジネス」を構想しました。

専任組織を作り、マーケットの立証と今後の規模拡大の可能性が見込めることを確認し、さらなる収益拡大、周辺事業の戦略的拡大を目指すために、伊藤忠商事(株)をパートナーに迎え、2024年4月に事業会社を設立しました。

IPとは知的財産・著作権のことを指します。アニメ作品の利用期間は長く、通常10~20年もの長期にわたり視聴されます。その保有者となることで権利料を長期にわたり回収するビジネスが可能で、さらに裾野は今や全世界に広がっているため、スカパーJSATグループの求める規模感と継続価値を生み出すことができるということになります。

ビジネスモデルは製作委員会方式であり、一つのIP投資を複数の会社が受け持ち、得意分野を役割分担することで収益の最大化を図ります。伊藤忠商事(株)に参画をお願いした理由はこの部分が大きく、彼らの持つ世界規模の商社流通網は既存のアニメ業界には存在しない特色があり、それを当社が組み込むことで他にはない強みを手にできると考えたからです。

競争は激しい領域となりますが、日本が誇る資産であるアニメーションという文化がこれからも世界中に熱狂を生み出し続けることは間違いないと思います。スカパー・ピクチャーズが他では成せない魅力を持ってそこに一石を投じることで世の中に必要とされる存在となり、さらなる業界の発展と豊かな社会形成の一翼を担うことを目指してまいります。

最後に本年10月より放送となる当社第一作目の作品のご紹介をいたします。是非ご覧ください。 

株式会社スカパー・ピクチャーズ 代表取締役社長 長内 敦

長内 敦

株式会社
スカパー・ピクチャーズ
代表取締役社長

©魚豊/小学館/チ。 ―地球の運動について―製作委員会

©魚豊/小学館/チ。 ―地球の運動について―製作委員会

放送予定は変更になる可能性があります。

TVアニメ
「チ。―地球の運動について―」
NHK総合テレビ 10月5日より放送開始。
毎週土曜午後11時45分~(予定) Netflixでの世界配信、ABEMAでの無料配信も決定

 キャスト:坂本真綾 津田健次郎 速水奨 ほか
アニメーション制作:マッドハウス
原作/魚豊「チ。 ―地球の運動について―」(小学館「ビッグ スピリッツコミックス」刊

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