事業概況[メディア事業]

配信と放送の両面で
多様なニーズに対応しつつ、
新領域への展開を進めます。

取締役

(スカパーJSAT株式会社メディア事業部門長)
小川 正人

SWOT

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中長期の事業戦略

メディア事業は、人と人、企業、社会をつなぐプラットフォームとして、多様で創造性豊かな社会の実現に貢献するため、ファンの体験を起点として、その先の体験領域を拡張させてまいります。その実現に向け、積極的な業務提携を含む新領域への投資を集中させ、2030年には50億円のセグメント利益を達成することを目指します。

厳しい競争にさらされ、衛星放送事業の契約数が漸減傾向にあります。一方で毎年度、着実に契約件数を伸ばしているFTTH事業をより大きくしていくとともに、新領域事業により、事業の多角化・収益の多様化を推進していきます。そこで2030年に向け、コネクテッドTV、メディアソリューション、リアルの分野に500億円超の集中投資を実行していく計画です。

コネクテッドTV事業では、有料・無料のさまざまな形式の動画配信サービスを大画面テレビで視聴できる「ドングル」(端末)の開発を進めます。

また、同じくコネクテッドTV事業として広告プラットフォームの構築に取り組むため、2021年9月に(株)フリークアウト・ホールディングスに出資しました。同社との業務提携を通じて、個人の嗜好や行動のデータに基づく新たな広告手法を用いた事業創出を目指します。

メディアソリューション事業では、当社が保有する有形・無形のアセットを活用し、企業の課題解決となるソリューション事業を展開していきます。

昨年から提供を開始している動画配信支援サービス「メディアHUBクラウド」は、コンテンツプロバイダー等が運用負荷を少なく配信事業を展開できるよう、当社がHUBとなってサポートする仕組みです。多チャンネル放送事業で積み上げてきた実績を活かして、コンテンツプロバイダー、サービスプロバイダーはもちろんのこと、一般企業へのアプローチも含めて、新たな収益源として、数年後には10億円規模の収益確保を目指したいと考えています。

それに加え、映像コンテンツの利活用に必要な情報を体系的に管理する「コンテンツデータベース」の構築に取り組んでいます。当社独自の仕組みでコンテンツごとの関連情報を豊富に、かつ詳細に付加させることで、情報の流通を活性化し、映像ビジネスの効率化と普及促進に貢献していきたいと考えています。

リアルな体験への取り組みでは、さまざまなコンテンツのファンの皆さまに、ファン視点での世界観をお楽しみいただくため、ファンミーティング、イベント、グッズ販売、ツアー施策、といったリアルな体験を提供します。ドイツ・ブンデスリーガとは、2025年シーズンまでの放送・配信権だけでな
く、パートナーシップ契約の締結により、共同でマーケティングを行っています。今年の11月にはブンデスリーガのクラブを日本に招致してJリーグクラブとの親善試合を開催し、日本のサッカーファンに感動体験を届けます。

その他、メタバース上で視聴者が参加できるプロ野球バーチャルキャンプや、新技術を活用したVR握手会等にも取り組んでおります。こうした事業戦略により、基盤とする既存事業と新領域と合わせて、2030年度にはセグメント利益50億円を達成したいと考えています。

メディア事業の重要課題とKPI

重要課題テーマ

重要課題

(マテリアリティ)

長期 短期 KPI・実績
長期目標(2030年にありたい姿) 短期達成目標 2021年度実績
レジリエントな放送・ 通信インフラの構築 情報格差の解消 あらゆるエリア・環境への放送・通信インフラの提供 どんなときも、地球上のあらゆる「つながりを求めるもの」にコネクティビティを与え、信頼性の高いサービスを絶え間なく提供する 災害に強い放送・通信インフラ整備とエリア拡大により、 どんなときも、どこにいても地球上のあらゆる「つながりを 求めるもの」にコネクテ ィビティを与える

衛星に加え、光ファイバー経由の放送サービス提供可能 世帯を2023年までに、3,500万世帯に拡大する

放送サービス提供可能世帯数:約3,400万世帯(2021年度末)

※2月に富山県で新たに開始し、計35都道府県に提供

災害に強いレジリエントな放送・通信インフラの提供を通じたBCPおよび救援・復興支援 スカパー東京メディアセンターにて、耐風速90mアンテ ナの設置と、屋上構造物の強化を行う スカパー東京メディアセンターにて、耐風速90mアンテナ設置、屋上構造物強化(達成済み)
脱炭素社会と 循環型経済の実現に 向けた環境への寄与 多様なコンテンツを、放送や配信、さまざまな顧客接点で提供 さまざまなコンテンツやサービスを取り揃え、人々の価値観を広げる統合メディアプラットフォームを実現する 人々とコンテンツの出会いを促進し、観たいコンテンツを簡単に観ることができる世界をつくる 衛星放送だけでなく、配信サービスや双方向機能をより 活用し、人々がコンテンツを楽しめる機会を増やす
  •  新たな動画配信サービス「SPOOX」を21年10月に開始。「バリュープラン」を22年2月に販売開始
  • ソフトバンク・ホークスのキャンプをメタバース上で楽しめる企画を2022年1月に実施
多様なコンテンツホルダーの参入を支援し、 コンテンツ流通を促進 コンテンツホルダー(個人・企業)がコンテンツビジネスに手軽に参入できる世界をつくる コンテンツ提供者にスタジオ機能、コンテンツの伝送、 配信機能等を統合的に提供できる仕組みをつくる コンテンツ提供者向けメディアソリューションサービス「メディアHUBクラウド」を2021年6月に開始
暴力・人権・差別等のコンテンツへの適切な対応 映像コンテンツ提供の倫理ガイドラインを確立し、当社サービスの基準とする 当社提供コンテンツの細やかで適切なガイドラインを策 定し、時代の変化に合わせ随時改定を行う

当社提供コンテンツのガイドライン(内規)を2021年10月に策定

※配信含む

環境や社会に寄与する イノベーションの推進 放送・通信の高度化・技術開発による新し
い価値の提供
新たな映像サービス、新たな顧客サービスを提供し続け、社会を発展させる 顧客価値を高める新たなサービスを毎年投入し続ける
  • 2021年10月 新配信サービス「SPOOX/SPOOX EX」開始
  • 2021年7月 家電サブスクサービス「PLUSY」開始
  • 2021年6月 メディアソリューションサービス「メディアHUBクラウド」開始
  • 2021年7月「マンション映像設備保守サービス」開始
地域・コミュニティの発展 放送枠・番組・CM等の特徴を活かした社
会への貢献
自社のインフラを活用した社会貢献を通じ、Space for your Smileを実現する スカパーのアセットを活用した社会貢献施策を実施する
  • BSスカパー にて「スカパー アイドルフェス! Think of SDGs」制作・放送
    詳細はWEBページへ 
  • 中学生・高校生に対して、日本各地を周遊する空の旅をプレゼントするイベントを実施
    詳細はWEBページへ 

事例1 FTTHを経由したテレビ再送信サービスの拡大に注力

各ご家庭のテレビに衛星経由だけでなく、光回線(FTTH)を経由したテレビ再送信サービスも提供しています。アンテナ設置不要で地上波・BS放送ならびにスカパー!をお楽しみいただけるこのサービスでは、2019年9月からNHKのBS8Kチャンネルを含む新4K8K衛星放送の全チャンネルが視聴可能となりました。専用アダプターの設置により、宅内設備の改修をすることなく高画質な映像をご視聴いただけます。サービス提供可能世帯は2022年3月時点で約3,400万世帯、接続世帯数は254万世帯を超えており、今後もサービスエリア拡大によるFTTHテレビ再送信サービスの接続世帯数の増加とともに、光回線経由のスカパー!加入者拡大を目指します。

事例2 多様性を認める社会の創造に寄与する多チャンネル放送

多チャンネル放送「スカパー!」では、100チャンネルを超える多種多様なチャンネルをお楽しみいただけます。アニメやスポーツ、国内外の映画やドラマ、趣味、ニュース等のチャンネルを通じて多様な文化や価値観を知る機会を提供しています。また、ライフスタイルの多様化にともない、衛星・光回線・インターネット等さまざまな方法で、PC、スマートフォン、IPTVなど場所や時間・デバイスにとらわれることなくご覧いただけます。

また、2021年10月からは動画配信サービス「SPOOX」も開始し、3万タイトルを超えるさまざまなコンテンツを提供しています。

新しい映像体験を提供

長谷川 雅洋

スカパーJSAT株式会社
メディア事業部門 
メディア事業本部 
配信事業部長

テレビとインターネットを組み合わせて楽しむお客さまが増えています。
そのようなニーズにお応えするため、配信事業部では新しい映像体験の企画や事業推進を担当しています。主なものを3つご紹介致します。

1つ目は「スカパー!番組配信」です。「スカパー!番組配信」は、テレビ番組を携帯アプリやパソコンでもお楽しみいただける放送サービス契約者専用の配信サービスです。スカパー! 契約者の利便性や満足度の向上を狙っています。現在はプロ野球やサッカーのLIVE中継が大人気です。22年中にラインナップを拡充して、より便利なサービスにアップデート予定です。

2つ目は「SPOOX(スプークス)」です。「SPOOX」は、誰でもご利用いただける有料配信サービスです。サービス名称は造語で「SP=スカパー!、oo=無限大、X=未知なるもの」の組み合わせです。「新しい価値創出に向けた、絶え間ないチャレンジの場」という想いを込めました。2月には、株式会社NTTぷらら(現 株式会社NTTドコモ)との協業で約3万コンテンツ見放題パッケージ(バリュープラン)を販売開始しました。また、株式会社フリークアウトとの協業により、高度な広告配信機能を22年中に機能追加する予定です。SPOOXはユニークなコンテンツ体験を追求しています。

3つ目は「コネクテッドTV(CTV)」です。「CTV」は、インターネットに接続されたテレビ端末(含む外付けデバイス)で複数の動画サービスをまとめて視聴できる配信サービスです。現在、来年度のCTVサービス立ち上げを目指し、急ピッチで準備を進めております。当社は、衛星放送プラットフォームとCTVプラットフォームの両方を併せ持つハイブリッド型のユニークなプラットフォーマーを目指しています。

今後のスカパー!サービスの「深化」と「進化」にご期待下さい!