取締役会の構成・実効性評価

取締役会の構成

当社の取締役会は、9名(男性7名・女性2名)で構成され、うち常勤4名・非常勤5名(全員が社外取締役)であります。取締役は、原則1ヶ月毎及び必要に応じて臨時に開催し、当社案件及び子会社における重要案件も含めて重要な業務執行について審議・決定し、また重要な発生事実等についても各社からの報告により情報の共有を行います。また、企業経営者としての経験や、高度な専門性、豊富な経験・深い知見が豊富である社外取締役5名の選任は、当社の取締役会における多面的な議論展開を可能とし、当社グループのガバナンスの実効性を高めるものと考えております。

2023年度の取締役会は、15回開催、出席率は99.2%となっております。

取締役のスキルマトリックス

取締役会の評価・分析

取締役会は、毎年各取締役の自己評価なども踏まえ、取締役会の実効性について、分析・評価を行い、その結果の概要を開示いたします。

2023年度取締役会の実効性の評価結果の概要

2023年度取締役会の実効性について、2024年2月に全取締役(9名)及び全監査役(4名)に対し、取締役会の構成、運営状況、審議内容及び経営課題等に関するアンケートを実施し、同年4月開催の取締役会において、結果報告、分析・評価、課題への対応策を検討・議論しております。
常勤4名・非常勤5名(うち3名は独立社外取締役、5名は社外取締役)の各取締役は、各々の知識や経験に基づき効果的な発言や質の高い議論を行っており、取締役会としての実効性は十分確保されているものと評価しております。

今後、資本コストや株価を意識した経営やサステナビリティ経営に関する議論の充実、DXの推進、株主との対話の推進等について、取締役会議長及び取締役会事務局が中心となり、検討を進めてまいります。

取締役会における議論

取締役会では、当社および事業会社の重要案件や法令で定められている議案を中心に、決議事項・報告事項について活発に議論しています。また、主要トピックスや周辺情報に関する説明や講演への参加機会を提供したうえで、重要案件は社外役員へ事前説明を行うなどし、事前に十分に理解を深めて取締役会に臨めるよう努めています。

主な議論および議論の内容

議題 議論の内容
通信衛星「JSAT-31」の調達 主要な事業会社であるスカパーJSAT(株)とThales Alenia Space(本社:フランス カンヌ)との、フルデジタル衛星「JSAT-31」の調達契約の締結について、今後の衛星通信市場の環境分析や想定されるリスク等を踏まえた説明があり、議論を行いました。社外役員からは、中期経営計画への影響や周波数調整の状況、潜在ユーザ等について質問がなされ、活発な議論が行われました。
(株)スカパー・ピクチャーズの設立 スカパーJSAT(株)が伊藤忠商事(株)をパートナーに迎え、アニメを中心とした映像コンテンツの企画・製作投資・販売、および周辺事業の推進を目指して(株)スカパー・ピクチャーズを設立すること、本事業に取り組む意義、パートナーとの協業メリットやビジョン等について説明があり、議論を行いました。社外役員からは、営業戦略やガバナンスに関する意見、事業計画等に関する質問がなされ、今後の取り組みに向けた有益な議論が行われました。
サステナビリティに関する取り組み 当社グループの2023年度のサステナビリティに関する活動報告、マテリアリティ、長期目標およびKPIの見直し、2024年度の活動計画等について説明があり、議論を行いました。社外役員からは、これまでの活動に関する評価、当社事業を活かした今後の取り組みの方向性等について意見があり、さまざまな議論が行われました。

2023年度の課題対応方針への対応

2023年度の課題対応方針については、おおむね対応を完了しています。このうち、「宇宙事業に係る専門的知見を持つ社外取締役の選任」については、宇宙事業に係る宇宙法、国際法、安全保障戦略等の分野における高度な専門性を有する青木節子氏、安全保障戦略、宇宙防衛、国際情勢等の分野における豊富な経験と深い知見を有する豊田硬氏を社外取締役に迎え、経営やガバナンス体制の強化を図りました。また、「海外IRの年3回実施、海外IR支援会社も活用した年20件程度の面談実施」に対しては、代表取締役社長による海外ロードショーを3回(ロンドン(2023年9月)、シンガポール(2024年2月)、北米(2024年3月) )実施し、海外投資家との対話を深めました。海外IR支援会社も活用した面談件数は52件となりました。さらに、「オフサイトミーティング等を通じた集中討議の実施」に対しては、社外役員および事業会社役員によるオフサイトミーティングを実施し、経営方針・経営戦略に関し積極的に議論し、進捗状況の確認や分析を行いました。宇宙事業・メディア事業ともに中長期的な戦略として、既存事業も含めた新たな取り組みと実行について議論しています。

抽出された課題に対する対応方針

項目 課題 対応方針
役員構成・運用等 • 宇宙事業に係る専門的知見を持つ社外取締役の選任
• 重要案件・新規案件の事前説明の充実、資料配布の早期化
• 事業に係る業界動向、周辺領域を含めた勉強会等の実施
• 人的資本経営や気候変動等の非財務情報の開示についての議論
• 第16期定時株主総会において宇宙分野に高度な専門性を有する新任取締役を選任
• 審議事項、報告事項にかかわらず、重要案件、新規案件の事前説明を拡充
• 役員トレーニングの一環として外部講師・グループ内社員による各種講演・勉強会の案内拡充
• サステナビリティ活動方針やマテリアリティの検討の場等での議論促進
議論・新たなテーマ(DX関連) • ルーティン業務・オペレーション業務のDX検討、社内外各種データのさらなる共有化
• サービス高度化のためのAI技術等の活用
• 縦横連携型組織CFT(クロスファンクショナルチーム)を通じた会社変革・業務推進方法の見直し
• サービスの高度化に向けた新技術導入の検討
株主(投資家)との対話 • 積極的な海外IRの実施・強化
• 環境対応に関する継続的なメッセージの発出
• 海外IRはコロナ禍前と同等の年3回実施し、海外IR支援会社も活用して年20件程度の面談実施を目指す
• 広報・IR部とサステナビリティ推進部との連携により、決算説明会や統合報告書に加えて新たな機関投資家等との対
話促進と情報発信
その他 • 事業環境変化への対応、事業戦略の見直し
• 取締役会以外でのインフォーマルな議論の場
・オフサイトミーティング等を通じた集中討議の実施
・取締役・監査役懇談会の再開

2024年度の課題対応方針

項目 課題 対応方針
役員構成・運用等 • 取締役会の多様性確保・スキル拡充、独立社外役員の増員
• 取締役会上程に至る議論の過程の説明
• 取締役会招集通知・資料配布の早期化
• 指名報酬委員会で議論を継続
• 事業会社の経営会議における議論を事前に共有するなど、より丁寧に議論の過程等を説明
• 重要案件は、約2週間前に資料を共有して事前説明を実施
• 通常案件についても、取締役会招集通知の発出および資料共有を開催1週間前に実施
トレーニング • 情報提供の充実
– 大規模投資案件のその後の進捗・課題
– 放送業界全体の今後の展望に関する勉強機会
– スカパー東京メディアセンター等拠点の見学会
– SDGsや世界標準の人権関連
– 宇宙事業におけるグローバル市場の動向、最新技術や市場への浸透状況等
– DX推進およびサイバーセキュリティ
• 大規模投資案件の申告報告等の場を提供
• メディア事業関連を含めた多様なテーマの設定
• 見学会の開催

経営の健全性に対する監視・牽制体制の確保

当社は監査役(監査役会)設置会社として、監査役による経営監視を十分機能させることで監視・監督機能の充実と経営の透明性、健全性を確保しております。監査役による経営監視を主軸とした企業統治体制に加えて、取締役会による経営監督の実効性と経営の透明性、健全性を強化・向上させることを目的に、独立性の高い社外取締役、社外監査役を複数名選任するとともに、取締役会の諮問機関として指名報酬委員会を任意で設置しております。この指名報酬委員会は、その過半数が独立社外取締役をもって構成され、独立社外取締役を委員長としており 、役員の指名、報酬の決定において独立性のある答申を行うこととしております。

独立役員の確保

当社が上場する東京証券取引所は、一般株主の保護とコーポレート・ガバナンス強化の観点から、プライム市場上場会社に対しては少なくとも1名以上の「独立役員」の確保を義務付けております。独立役員とは、一般株主との利益相反が生じる恐れのない、すなわち当社及び当社グループと利害関係のない中立な立場で経営に参画する社外取締役または社外監査役を指します。当社では、同取引所が義務付ける少なくとも1名以上の独立役員の選任という基準に対して、会社法及び同取引所が定める独立基準に加え、当社独自の判断基準を定め、現在4名の独立役員(取締役3名、監査役1名)を確保しております。

2023年度社外取締役の主な活動状況

取締役:大賀公子

当事業年度に開催された取締役会15回のうち15回に出席し、議案の審議等につき、必要に応じ、企業経営者としての高い見識と、通信業界における豊富な経験・知見に基づいた発言を行っており、経営体制強化に関する点を中心に、独立した客観的立場からの経営陣の監督に努めております。また、同氏は、取締役の選解任・報酬につき取締役会に答申を行う指名報酬委員会の委員長を務めております。当事業年度に開催された指名報酬委員会9回のうち9回に出席しております。

取締役:清水賢治

当事業年度に開催された取締役会15回のうち15回に出席し、議案の審議等につき、必要に応じ、企業経営者としての高い見識と、メディア事業における豊富な経験・知見に基づいた発言を行っており、経営体制強化に関する点を中心に、独立した客観的な立場からの経営陣の監督に努めております。また、同氏は、取締役の選解任・報酬につき取締役会に答申を行う指名報酬委員会の委員を務めております。当事業年度に開催された指名報酬委員会9回のうち9回に出席しております。

取締役:於保浩之

当事業年度に開催された取締役会15回のうち15回に出席し、議案の審議等につき、必要に応じ、企業経営者としての高い見識と、メディア事業における豊富な経験・知見に基づいた発言を行っており、経営体制強化に関する点を中心に、独立した客観的立場からの経営陣の監督に努めております。

取締役:青木節子

当事業年度、就任後に開催された取締役会11回のうち11回に出席し、議案の審議等につき、必要に応じ、宇宙法、国際法、安全保障戦略等の分野における高度な専門性に基づいた発言を行っており、経営・ガバナンス体制の強化に関する点を中心に、独立した客観的な立場から経営陣を適切に指導・監督しております。また、同氏は、取締役の選解任・報酬につき取締役会に答申を行う指名報酬委員会の委員を務めております。当事業年度、就任後に開催された指名報酬委員会6回のうち6回に出席しております。

取締役:豊田硬

当事業年度、就任後に開催された取締役会11回のうち11回に出席し、安全保障戦略、宇宙防衛、国際情勢等の分野における豊富な経験と深い知見に基づいた発言を行っており、経営・ガバナンス体制の強化に関する点を中心に、独立した客観的な立場から経営陣を適切に指導・監督しております。また、同氏は、取締役の選解任・報酬につき取締役会に答申を行う指名報酬委員会の委員を務めております。当事業年度、就任後に開催された指名報酬委員会6回のうち6回に出席しております。